狂い、そして笑え(僕らの為に)

いいからこれ以上あたしに対して何も言わないで。
そうはっきりと断言したにも拘らず
Lは恐らくの言葉なんて聞いていないのだろう。
この部屋にはパキリパキリと
板チョコの折れる音が聞こえている。
まん丸の眼差しがじっとこちらを見ていた。

「いいからあたしの話を聞いて、L」
「いいですよ」
「あたしは―」

今の所あんたから全部を奪う事が出来るのよ。
は少しだけ偉そうにそう言う。
この人は一体何を(又だ)言い出したのだろうと思ったLは
少しだけ黙る事にした。このという女は単純だ。

「きっとあんたはあたしを何があっても引き止めたくなるはず」
「根拠は」
「あんた、あたしがどっか他のところに行っちゃっていいの?」
「イヤです」
「でしょ?だから」
「しかしあなたは自分の意思で行動を実行する」
「そういう言い方やめてって言ってるでしょ」
「はい」

今の所キラと遊んでいる事さえうっかりと忘れてしまいそうだ。
しかしそれは伝えない。

「けどあんた、ここから出ないもんね」
「必要がないからです」
「あたしがここじゃないとこで何してるか興味ないわけ?」
「考えても仕方がないからです」
「え?」
「あなたをここに縛り付ける事は不可能です。
チョコレート、食べますか?」

黙ってその板チョコを受け取ればLの熱で僅かに溶けていた。
少しだけ気を削がれは黙る。
どうしてLの側にいればいるほど心が揺れていくのだろう。

「恐らく」
「何」
「私が死ねばあなたは哀しむでしょう」

それも酷く。
Lは続ける。
はLの、それこそ順序だてられた言葉を聞き続ける。
酷く気が滅入る、悲しくなる。Lお得意の技だ。

「あんたが死んだらどうしよう」
「だから考えても仕方がないと言ったでしょう」

恐らくLは誰よりも先の事を考えている。
早回りして予防策を幾つか弾き出す。
そんなLが考える事を放棄しているのだから
それはどうしようもない事なのだ。

「神だとか何だとかさ、くだらないのよ全部」
「ええ」
「そんなモンにあんたを奪われてるあたしもくだらないわ」

嫉妬ですかと呟いたLの口調は普段とまったく変わらなかった。
それでも嬉しかった。

初L。やっちゃった感が。
調子に乗ればこうなるというね。はい。
只、Lと言われ真っ先に浮かんだのは
「私が死ねばあなたは哀しむでしょう」
という言葉でした。
アンケ。L。無理してスイマセン。