年甲斐もなく本気の喧嘩をしかけてくる男には溜息を差し出す。
少しの事で大袈裟に怒り怒鳴り一人勝手にどこかへ行ってしまう、
面と向かい向き合う事はない。
逃げてんのあんた、後姿にそう吐き捨てれば男は言った。
逃げてんだよバーカ。
大きな手の平がヒラヒラと舞い幾度となく見送った後姿を又見せ付ける。
結局残るのは無常な淋しさと虚しさばかりだ、
は堅い床を蹴りつけ涙をこらえる。
とんだ大嘘吐きだこのまま死んでしまう。
ハーレムがいなければそうなってしまうのだ
その事はあの男にしても重々承知で
瀕死の辺りまでハーレムは平気でを離す。
この様はリアルタイムで奴等に届いている、
ロッドの顔が脳裏に浮かびは又床を蹴りつけた。
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指が荒れてんじゃねェか、唐突に言われたその言葉が口火を切った。
指先が荒れているのは今に始まったものではない
銃機器を扱っていれば自ずとそうなるしハーレムにしてもそうに違いない。
丁度イングラムの手入れをしていた際背後から声をかけられた、
気配消すのやめてよハーレム、は振り向きざまにそう応える。
「見せてみろ」
「触んないでよ」
「あ?」
「手入れ中じゃない今―」
何を言っても無駄な事くらい承知でそれでもは口を閉ざさない。
ハーレムが手を取り指先を眺めている、
はその様を気持ち悪そうに見つめている。
「やっぱりな」
「何が」
「痛ェんだよ」
「何?」
ロッドがニヤニヤと笑いながら二人の会話を盗み聞いている、
下手な事言うんじゃないわよハーレム、の目がそう告げる。
そうならば、それならば皆の期待を裏切るわけにはいかないだろう。
「ヤってる最中背中が痛ェ」
「・・・!!」
「爪じゃねェとは思ってたんだよなぁ〜爪は短けェしよ」
の平手が獅子舞様の右頬にクリティカルヒット、
獅子舞様がニヤリと笑い頬を押さえる。
へ〜ェ、は下手すりゃ爪たてんだねェ、
ロッドの声すら聞こえは部屋を出て行く。
毎度の光景幾度となく繰り返される行動。
それが口火を切りはハーレムを無視し長期戦決定―
ハーレムが我慢出来なくなるのももうじきであり
肉弾戦以外のメンタル部分での戦いはどうやらお気に召さないらしい。
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ハーレムが出て行ったのは
の気がすむまでの期間をどこかよそで過ごす為だ、
時間が経てばの気持ちも何れ落ち着くし
そうなればじきに何事もなかったかのごとく日常が始まる。
サービスとはそこそこに仲がいいらしい、
互いに距離を置き付き合うのだからそれはそうだろう。
余り深く立ち入らないタイプの人間だ。
マジックともそこそこに仲がいいらしい、子をあやす感覚に似ている。
「もう戻って来るな馬鹿!!」
「はいは〜い」
「一回くらい言い返せ馬鹿!!」
「は〜〜〜い」
「あんたなんか大っ嫌いよハーレム!!」
少し掠れたの声がそう叫ぶ。
ハーレムは動きを止めゆっくりと振り返り
涙を堪えたの斜め上から見下ろす。
「・・・嘘吐いてんじゃねェよ馬鹿」
「何応えてんのよ・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
その日初めてハーレムは出戻った。
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「・・・おい、今日は又不機嫌じゃないか」
「あ〜何だかよ、殴ったの殴られたのだってよ」
「又か・・・」
頬を赤くしたは無言で黙々とベレッタの手入れをしているし
同じく頬を赤くしたハーレムは窓辺で一人ずっと酒を飲んでいる。
一月ばっかり出て行くって思ったんだけどねェ、
出そびれたハーレムを横目に
ロッドは意外そうにそう言いマーカーは首を振る。
二人一緒にいてもロクな事がない、それなのに何故惹かれあうのだろう。
PAPUWAも書いてたんだよう。