ステデヰタイム

薄目で見ても大きく見開いてみても
やはりの周囲には薄い膜が張っていて
ハーレムの力ではそれを無くす事は出来ないらしい。
よくよく注意をはらい見ていれば
が頻繁に話をしている相手というのはマーカーであり
マーカーもショウの相手を頻繁にしているらしい。
これも又不可思議な出来事だ。


「・・・が牡丹でね、」
「なるほどな」
「だからやっぱり―」


話の内容がまるで理解出来ず難儀していたハーレムは
ふとの視線に気づく。

何見てるんですあんた、
杜撰なの返答に怒鳴る余裕もないのだ。
お前こそ見てんじゃねェ馬鹿、
我ながら馬鹿らしい言葉を返したと思った。
そうしてわざとらしさが隠れていればいいのにとも思ったが
その辺りには真勘の働かないの事だ心配する必要もないだろう―

マーカーは力ずくで押さえ込めばいいだけの話。
マーカーの視線を感じハーレムは視線を動かす。


「・・・何見てやがんだコラ」


ロッドも見ていた。











思っていればいつか自然に気持ちは通じ合いどうにかなる、
この俺様が思ってやってんだ当たり前じゃねぇか―
その勘違いは最期まで勘違いらしい。
少しだけ自暴自棄になる、少しだけマイナス思考になる。
いつかなんて永遠に来ないかも知れない、
仮にそのいつかが来たとしても上手くいく可能性はないに近いのか。
頭で考えればそれこそ最悪な展開ばかりが脳裏を過ぎり
ハーレムは慣れない真似はしないに限ると知る。


「ちょっと隊長、」
「・・・」
「ハーレム!!」
「あ!?」


何ボーッとしてるんです。
ハーレム直属部隊に来てからというもの
はハーレムの事を隊長と呼ぶようになり
自然に敬語を使うようになった。
昔馴染みの女は少し前までタメ口で
それこそ小生意気な口を叩いていたのに。
敬語を使うようになり自然と大人びてきたような気もする、
は変わってしまったのだろうか。


「今度の作戦の件なんですが、」
「・・・おう」
「やる気ないんですか」
「べっつに〜」


やる気はねェよ、今更な感じもしないではない。
今更自分がの事をどうのだなんて馬鹿馬鹿しいかも知れない。
にこの気持ちは知られていないのだし
部下達は余計な口を挟まないだろう(実力行使)安全だ。


「敬語、やめねェ?」
「はい?」
「な〜んか調子出ねェ」


テーブルに突っ伏した獅子舞がそう呟く。
は溜息を吐き頭をかき口を開いた。
馬鹿じゃないのあんた、突然の変化にハーレムすら驚く。


「・・・あ?」
「あんた一応は隊長なんでしょ!?」
「お前変わり身早すぎだろ!!」
「しっかりしなさいよ四十過ぎの癖に!」
「うーるせーよ!!」


歳の事は言うんじゃねェ小娘が、
ハーレムの言葉には笑う。
小娘が笑う。ああ。だから。


「あ〜あ、お前になりてェ」
「・・・は?」
「だ〜からお前になりてーって!!」
「何?それ若返りたいって事?」
「馬鹿違げ〜よ」


自分で何を言っているのかが分からず
ハーレムは勢いよく立ち上がった。
もしかしたら顔が赤くなっているかも知れない、髪で顔を隠した。
の腕がハーレムの袖を引っ張る。


「で、隊長」
「駄目」
「話の続きは―」
「明日にしろ」


欲しいものは全部手に入れて
それでも決してと同じ目線にはなれない事にも気づいている。
どちらかといえばやはりマーカー達の視線に近い。
そんな事を考えていれば妙に胸の辺りが冷たくなっていくので
ハーレムは無理矢理気持ちを凍結させる。


「じゃみんなと話し合って来ますね」
「・・・駄目だ」
「はい?」 「隊長命令、聞けねーのかよ
「わっけ分かんないし・・・」
「フン」


どうせいつかなんてありはしない、
まったく何に囚われているのだろうか。
怪訝そうな視線を向けるを見ながら
ハーレムは少しばかりの気まずさを抱え込み
そういえば牡丹の意味を知らなかった事を思い出す。

だからといってそれを自身に聞く事も出来ずに
親父辺りに聞いてみようかと。

それもどうかと思い直した。

何を書きたかったのかが分からない・・・