何故一緒にいるのかと問われれば答えは簡単、
この男の後釜に座りたいそれだけだった。
皮肉にもこの男の胸中は何となく筒抜けだし
偶然にもこの男はの存在を嫌わなかった。
もしかすればどうでもいい存在なのかも知れない。
稀にそう思うがやはりそんな事はどうでもいい事であり
は今日もドフラミンゴの隣に位置づく。
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あの男の一番嫌がる事をしてやろう。
今日もドフラミンゴは暇を持て余しどこかへと出かけている。
所用だとは言っていたもののどうせ女の場所だ、
雑用は総てに任せ豪遊する男を責める事など出来ない。
この男が一海賊から如何にしてここまで成り上がったのかは分からないが
大した成功だとは思う。故に欲す。
「ふ〜〜〜ん・・・」
卑猥なポラロイドが足元に散らばり
露骨にそれを足蹴にしたは一度過ぎたそれを拾い上げる。
サイズばかりはキング、室内装飾は悲惨の極みを辿る古いモーテル。
ショッキングピンクのシーツの中
女を片手に映っているこの男の眼差しは依然見えない。
性質の悪い悪戯か何か―兎角子供の遊びに似ているのだろう。
女に不自由する事のないあの男はを抱く事もなし
消耗品の一部だとでも思っているに違いない。
それはそれでやはり構いはしないのに
だったら何故こうにも焦燥感ばかりが身を突くのだろう。
「あ〜〜れだ、あれ、」
馬鹿と天才は紙一重ってやつだ。
初めてを見たドフラミンゴは開口一番に言った。
なぁお前、お前が信じる信じねぇは別として
俺は本当の事しか言ってねぇぜ。
鼻っから戦う気などなかったらしい。
ドフラミンゴはを一瞥し
お前みてぇな生き方してても面白くねぇだろうな。
そう笑った。
一拍置く間もなしに俺にゃ関係ねぇけど、そうとも言った。
大した侮辱だとも思ったがそれは又別の話だ、
それでもはその時を境に
ドフラミンゴの元にいる事になったのだから今更文句もないだろう。
主のいないこの屋敷には興業関係の人間のみが忙しく立ち入り
の周りの空気を気まずいほど掻き回した。
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他人を騙し総てを誤魔化すやり方を目の当たりにし身の毛のよだつ感覚を覚えた。
これは昔どこかで見た事のある光景だ。
一人突飛した人間の周囲、沢山の馬鹿が集まる。
はだかのおうさまをみたこどもはいいました、
おうさまははだかだ!!
あの子供は果たしてどうなったのだろう。
ドフラミンゴは建前を厚く創り上げゴージャスな世界を創り上げる。
それに魅了されたのか(もしくはその振りなのかも知れない)
人々はこの男を持ち上げる、それは如何せん酷く可笑しい。
ドフラミンゴのもとで過ごす事になったはその光景を目の当たりに、
思わずドフラミンゴを見上げればこの男は
何もかも分かったような顔を下げ口元を歪めた。
この男は総て分かっていてそうして。
を手放さない本当の理由はそれかも知れない。
やはり面白い人生のみを、
自分が生涯をかけてやり続けるであろうゲームの真相を暴いた人間だから側にと。
少しだけの隙を見せそこに付け込む人間を片っ端から始末していく。
最近その手を下す役目は総てに。
おうさまはお疲れだ。
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「おい、!!」
「・・・何ですか」
明け方近くに戻ってきたドフラミンゴは毎度の如く上機嫌であり
螺旋階段中部に座り込んでいるを見上げた。
気狂いの様を演じているこの男は今日も日がな街へ繰り出す。
「昨日の報告ですが、」
「フ、止せ馬鹿」
「・・・止しますか、」
「いいや続けろ」
「そうです、か」
ヒラヒラと舞う男の指先に少しの間気を取られる。
いつかこの男の地位も名声も総てが塵と化す日が来るのだろう。
その日を気長に待つ事が果たして出来るのだろうか―
ならばその日まで自分はこの男のお遊びに付き合わされるのか。
無駄のない生活不自由のない生活、それに慣れきればその後は。
「・・・お前はよ、」
「何です、」
「年々駄目になっていくぜ、」
この俺の側にいる限りな。
見透かしたようにそう言ったドフラミンゴは一声笑い踵を返す。
ゲームを知りながらも事の詳細を知った上で何をどうする事も出来はしない。
俺ならもっと上手く立ち回るぜ。
ドフラミンゴの声が聞こえもしないのに脳内を駆け巡る。
「・・・」
幾分ばかりの口惜しさと無情なほどの虚しさ。
あんたから全部奪ってやるさ。
少しだけ俯いたは再度視線を戻し
使用人をからかい半分で足蹴にするドフラミンゴを見送った。
多分ドフラミンゴは先の事なんて心配してない