終焉を待つ

詰まらないと呟いたかどうか、
それでも話し相手はいないのだから誰も気にしないだろう。
飛行機が飛んでいる。
その音を僅かに聞き取りながらどうやらここのカフェで
一番人気らしいキャラメルマキアートが余りに甘すぎて辟易としている。


あいつが絶対に足を運ばなかった場所だ。
単に好きではないからだろうとたかをくくってはいたが
思い出が残った場所だったからだ。
理由は。今更気づくとは間抜け過ぎる、
それもこの場に足を運んだ際に思い出すとは。


お前の為に俺は。
そう呟いたマルコにもう顔も向けなかったは吐き捨てた。
あんたは自分の為にやってるのよ。
いいや。マルコは尚も食い下がる。
俺はお前の為に。


確か夕陽が狂ったように輝いていた時刻だったと思う。
彼女が、が自分以上に大事だと思っていた
(これも結果的に知りえた事実だ)男に似合った光。


そうさ。俺は闇だよ。
心の中、深くそれでも根深く揺れる悪い思いを知っているのだ。
もそれを知っていた。
あんたは結局それに喰い殺されるのよとも言った。
そうかも知れないと―分かってはいた。
何れ確率は収束する。


あぁ、俺はいつからこんな風になってしまったんだろう。


笑い話にさえ出来るというのに。
間違いにはとっくに気づいているのだ。
只それが悪いと思えもせずに。


「あんたが終わるのを遠くで見といてあげる」
「俺は終わらないよ」
「何れ終わんのよ」


だってあたしはもういなくなるんだから。
手切れと同時に叩き付けられたリングを目の当たりにし
崩れ行く世界が垣間見えた。
余りに僅か、視界のすみにしか見えなかったものだから
気づかない振りをする。まだ手応えはない。
だからの思い出が
(例えそれが自分との思い出ではないとしてもだ)
色濃く残ったここでそれを待つ。
きっと大きな影がこの街ごと自分を飲み込むだろう。

今週のWJ。
オイラもう凹みゆく一方だよ・・・