Raindogs

「ちょっと。勘弁してよ白蘭」
「なーんで」
「望んでないのよ」


だってさ。
言いたい言葉は山ほどあるのだ。
それでも一つとしての心に届きはしないから言わない。口は噤む。
だって。傷つかないようにしてあげたいんだよ。
余計なお世話なのだ。分かっている。


「いいから僕に付き合いなよ
「嫌よ。あんたの用事は面倒臭いのよ」
「そう言う言い方するんなら、命令にしちゃうけど」
「・・・!(この野郎)」


出来る限りをスパナから引き離す。白蘭の意思ではない予定だ。
これは全ての為、彼女の心が痛まない為に。
どうやらは(隠しているらしいが)スパナの事を良く思っているらしい。
分かりやすいの事、白蘭は兎も角、γも知っていた。
それなのに誰にも言わず隠し通しているつもりらしい。
そんな阿呆な所が尚愛しい。いけない、本音が出てしまった。


「一週間くらいかかるからね」
「はっ!?」
「準備しといてー」
「ちょっ」
「21:00出発だからね」


だって。僕だけでしょう。
一片の迷いもなしにそう思えるから性質が悪いのだ。
の側にいるべきなのは自分だけ、それ以外は考えられない。
一番生かせる、活かせる事が出来るのは自分だけなのだ。
理解者にもなれる、互いに。他にいるわけがない。


「・・・了解です」
「何それ。その言い方ぁ」
「うるさいのよ」
「すーぐ怒るんだから」


の背中を見ながら嬉しそうにそう呟く。若干嬉しそうに。
丁度昨日からスパナは缶詰に入ったはずだし、心残りはないはずだ。
だからといってこのままを殺してしまえば、
切実にこの組織自体が困ってしまうものだからそれは出来ない。

スパナは恋愛とかしなさそうな感じがする。
というか攻略が果てしなく難しそうだ。