プリズンブレイカー

最後の日なんてものは何の前触れもなく、そうして唐突に訪れる。
片方からしてみればそうだ。
そうしてもう片方は前兆を知っているから
嫌なカウントダウンを胸の中で唱え続けるだけ。


省みなかったバチがあたったのだとボンヤリと思っていて、
余りに身勝手だったからか引き止める事さえ出来なかった。
傍から見ればそうだろう、そりゃあ俺は悪い男だ。
単に振り回すだけで省みない。その癖、求める。
そばにいてくれと求める割にエース自身がフラフラと
所在不定なのだからどうしようもないのだ。


割り切っていたつもりなのに今こうして思い出すからには
心のどこかで強がっていたのだろう。目的があれば迷わない。


「…」


海軍に捕まり意識を失い何日目なのか。
意識のない間、淡い夢のような映像を見ている。
それがだ。が出て来る。
そんなつもりはなくとも縋っているのか。分からない。


別れましょうと呟いたはずっと俯いていて、
だからどんな表情をしているのかは分からなかった。
ずっと耐えていたのだろうと思ったのは無理をさせていると知っていたからだ。
だから己の気持ちを殺しエースは出て行った。
最後くらい格好つけさせろよ、馬鹿みたいにそう思ったからか。


「…殺せよ」


この俺を殺せ。
あんな夢を見せるくらいなら、生き恥を晒させるくらいなら。
今の自分の状態はとっくに世界中に知れているだろう。
親父にも知れているだろうし、恐らくにも知れている。
彼女がどう思うのかは分からない。
只。血を吐きながら感覚さえぼんやりと揺らぎながら
思い出すのは自分のせいで泣き苦しんでいるの姿で、
それでも彼女は愛していると―――――


「バカヤロウが」


夢に逃げたがっている意識に向かい、
凍てつく牢獄の中で吐き捨てる。

ヒ、ヒエー!
今週のWJ、海賊ヒエー!!
も、もうヤメテ…