Rocks

どうして今日は留守番なのと呟いたは詰まらなさそうに膝を抱えている。
外は雨が降り続き、こんな天気は何より嫌いだというのにキッド達は出て行くらしい。
置いていくな、だとか酷い、だとか。
思いのまま口を開けども請合われない。
まあ、彼らの言い分も分かる。丁度昨日の事だ。


港町で盛大に酒をかっ食らったユースタス御一行はまあ、上機嫌で船へ戻っていた。
時間帯は既に真夜中であり、星のきれいな、空の高い場所だった。
そんな場所の中、先陣をきっていたは何なく足を踏み外した。
酔いすぎていた為、視界が狭まっておりそれが原因だ。
ほど酔っていなかった他の面子は焦りながら近づいたが時既に遅し。
古い造りの街並みだった為、建物を縫うように細い階段が這っており、
はそれを転げ落ちたらしい。
結構な高さがあるその階段の上から数秒見下ろし、そして駆け下りる。
死にはしないだろうが大怪我の一つでもしていておかしくない。
流石に酔いも醒めかけたが落下点にては笑っており
皆、一様に少しだけイラッとした。
そのままキラーがを担ぎ上げ
(そんな時でもはまだ笑っていた)船へ戻る。
すっかり寝入ってしまったは痣だらけ血だらけであり、
こんな怪我を負っても酒のお陰で痛み一つ感じていないのかとぞっとした。
まあその分、翌日目覚めたの悲鳴は船内中に響き渡る事になったわけだ。
まったく記憶をなくしていたは自身の状態を把握出来ず、
大声でキッドの名を叫んだ。
丁度食事中だったキッドはそら来たと、うんざりした様子で呟いた。


「お前は本当に静かに出来ない女だな」
「…キラー」
「一日くらい安静にしたらどうだ」
「どうしているのよ」


見張りだよと返したキラーを見上げ笑う。


「どうせキッドから言われたんでしょ」
「まぁな」
「何なのよ」


こんな身体じゃろくろく動けもしないってのよ。
強めに捻った足首は死ぬ程痛いわけだし、顔にも青痣が出来ている。
痛む身体を引き摺り鏡を見て思わず叫んでしまったくらいの出来栄えだ。
うるせぇなと怒鳴りながら部屋へやって来たキッドに喰ってかかれば
昨晩の事を呆れたように告げられ笑う他なかった。


「どこに行ったの?」
「さぁな」
「え?何?もしかして怒ってる?」
「…」


元々余り口数の多い男ではないが、今日は余りに素っ気無さ過ぎる。
にしてみれば思いあたるフシもないわけで、
何となく思いついた言葉を投げてみれば
どうやら当たってしまったらしい。これも又、酒のせいか。


「あたし何をしたの?」
「いいから寝てろ」
「気になるんですけど」
「寝てろ」


指先で額を押され、そのままベッドに倒れこむ。
こんな男が同じ部屋にいて安眠出来て堪るかと思いながら目を閉じれば
又、指先が今度は髪を撫でるものだから今度は目を開ける事が出来なくなった。

初キラー…?
ステキサイト様のお陰で
ここ最近キラーとかキッドとかがアツくなりはしたものの、
何か凄い書きにくい。この人たちからは性のニオイがしないからか。
しかし好きです。
ていうか主人公が余りにアクティブ過ぎる。
キラーが怒った理由は怪我とか何か危機感のなさとかか。