それはない、だとか信じられないだとか、
何かしらの感想を口にするはローのすぐ横にいるわけだし、
ディスカッションに花を咲かせている彼女に口出しする事は余りない。
だからといって意見を完全に取り入れるのかといえば、
それも又ないわけで、雑談を楽しむわけでもなしに、
どうやら自分は嬉々と話をしているの顔を
見ているのだろうと思っていた。


ペンギン辺りと意見の衝突をし、
ああだこうだと相手の意見をどうにか論破し、
何故だか話が振り出しに戻っていたり、
そうかと思えばまったく違う話になっていたり。
聞く分には飽きが来ない。


こんなにもよく喋る女だとは思っておらず、
まあ想定の範囲外ではあったが、いい方に転んだのだろう。
この女と出会った頃を思い出し、
あの頃はまさかこんな状態になるだなんて
夢にも思わなかったと一人笑えば、
何を笑っているのよと注目がこちらに向けられた。
何でもねぇよと答えれば一同が怪訝そうな眼差しで様子を伺う。
気にするなと続け、目を閉じる。


そう、確かには手の届かない女だった。
当人は知らないまでも、噂では確かにそうだった。
ある程度の年齢までを一人で過ごしていれば、
今更誰かの配下には入ろうと思わない。
海軍に入る手前の段階で掻っ攫う事が出来たあの瞬間、高揚。
まるで映画みたいねと笑ったの顔。
誰かに必要とされれば他はどうだっていいのよと囁いたあの唇。
俺に付けとローが呟いた瞬間の表情。
少しだけ考え、あんた、余計なものを背負い込む事になるわよ。
はそう答えた。


「ねぇ、何をさっきから笑ってるのよ」
「…気にするな」
「怖いんですけど」


じっとこちらを見るの目。
あの頃と変わったのだろうか。
どんなものを背負い込むのかとローが聞けば
明言を避けたは曖昧に笑い、結局の所想像する他なくなった。
愛した男か、愛された男か。
情事後すぐ背を向けるような女にした男だ。
ピロートークが得意なわけでも、好きなわけでもないが、
そんなにすぐに背を向ければ何だか虚しいじゃねぇかと笑った記憶が蘇る。


「どうせ、ろくな事考えてないんでしょう」
「まぁな」
「もうやめてよー」
「お前の背中の傷の事、考えてたぜ。俺は」
「…こんな所で言わなくてもよくない?」
「ほらー!だからやめてって言ったのにー!」


毎度のように空気を破壊するローは(まあ、それもあえてだ)
一人、又笑う。
うんざりとしたクルー達は
だからやめろと言ったんだとを責めるのだし、
彼女は彼女でそんな意見など意に介さず、
他愛もないディスカッションは日が落ちるまで続く。




ながれたほしにおわかれを


拍手、ありがとうございました!
第六弾はローでした。
比較的ほんわかムードのロー。
2010/2/25