早く見付けて

只見ている、否見つめているだけで十分なのだろうか。
どれだけセンチメンタルなんだと自重する。
誰にも言わない。笑われるからだ。似合わない真似をするなと。
単に自分がどうこうするべき問題ではない、それだけの話。
は笑っているのだからそれでいいではないか。

彼女は毎日同じ時間帯にブライアンの前を通る。
店の中から彼女の姿を見つめる。
彼女は大概一人で、よく携帯で話をしながら歩いている。
年上だろうか。学生なのだろうか。何をしているのだろうか。見当もつかない。
声をかけてもいいのだろうか、嫌がるだろうか。
何を考えているんだ。俺は。

「・・・何見てんだ?」
「何も」
「あの女の人だろ、将五」
「違げーよ!」

ガラス越しに声が届けばいいのに。
彼女は今日も通りすぎる。
お節介なアキラ曰く彼女の名前は、現在専門学校に通っている―二十歳。
怪訝そうな眼差しでどうして知り当てたと問えば話しかけた、当然の返答が戻ってきた。
ガラス越しにこの声が届けばいいのに。
センチメンタルな思いを馳せる将五は今日も彼女を捜している。

ブライアンを出してみました