の姿が消えてしまった事実に馴れていると思う。
もしかすればは二度と戻らないのかも知れないし、
きっとそれならそれで納得さえ出来るだろう。
この牢獄の中はとても冷たく音さえも木霊せず―――――
重大犯罪人として投獄されたのだから、
ある種プレミアはつくのかも知れない。


それにしてもまったくつまらない考えばかりが頭の中を巡るのだ。
きっと暇を持て余しているからだろう、
クロコダイルはそう思い格子越しに青空を見上げる。
外の世界にしろここにしろきっとそう大差はない。
そう思わなければやってられないのも又事実だ。









冷たく突き放したものだと思う、我ながら。
今俺にゃお前の相手をしてる暇がねェんだ悪ぃな
毎回そう告げ各地を転々としていた。
が淋しいと呟いているその後ろで言い寄る女の相手すら。
お前だけってわけにもいかねェだろうが
微笑みそう諭せばは否応ナシに頷く羽目になる。
俺の時間は俺の為にだけ、お前にゃ微塵も分ける気はねェよ。
とても我侭な話だと、百も承知だ。
の顔をリアルに思い出す事が出来なくなった。


「クロコダイル」
「誰だ、そりゃあ」
「囚人番号末尾ゼロ」


数字で呼ばれる事にさえ馴れ始めた。
見知らぬ海軍から名を呼ばれないだけまだマシだと思えた。
馴れ馴れしく、気安く人の名を呼ぶんじゃねェ。
威圧感はさほど変わらない。


こうなるのならばそれは一人で、
あの麦わらが顔を見せた辺り、少しだけ計画が崩れてきた辺り。
を遠くへ離した。
あれだけは今でも褒められる程マトモな判断だったと思う。
その時もクロコダイルはやはり、
の言葉に等まるで関心を示さず。
負ける姿は見せられないだろう、
影のある身体等見せられる道理がない。


「面会だ」
「気が乗らねェな」
「一度くらい顔を見せてやったらどうだ」
「冗談じゃねェ」


ここに送られて半年ばかり経過した頃から
ずっと面会に来ている女がいる。
クロコダイルは一度としてその面会に立ち会った事はない。
名前も聞かず顔も見ず、それでも確証は持てる。
まったく、これでは自身が惨めで仕方ないではないか。


の顔をすっかり忘れてしまった頃に
気紛れにでも面会を果たしてみればどんな気持ちになるのだろう。
それにしても今日はやたらといい天気で、
クロコダイルはまどろみの中にすらいた。



DAY BY


再UP。
まだ監獄の詳細なんて微塵もない頃のやつだから、
普通に面会とかしてるしああもう何だそりゃあ。
2004/2/26