select-02

兎も角何が理由だったのか、何が原因だったのかが問題だ。
最初はサンジの方が執拗にを求めていたように思える。
あれは変質的で、そうして異常だった。
その異常さに気づく人間は誰一人としておらず、
時折でさえも自分の思い過ごしではないのか、そう思える程に。
サンジは気が利く男だ。そうして甘い。
そう、思っていた。


「ちょっ・・・冗談、やめてよ」
「冗談なんかじゃないよ」
「サンジ、」


淋しかったり苦しかったりするだろ、サンジが耳元で囁く。
俺は多分人よりもそれが大きいんだと思う、いつだって一人で、それで。
いつものように待ち伏せていたサンジは、
暗い室内でを抱き締めそうしてこれだ。
愛されているのかと思う、愛されているのだろうと錯覚してしまう。
そういえば、あたしが好きだったのは誰だったっけ?


「知ってるんだ、俺」
「何?」
が、誰を好きなのか」
「え?」
「けどさ、」


俺を選んでも後悔だけはしないと思うよ。
そんな温い言葉に騙されたのだろうか。
自分だけは特別だと勘違いでもしたというのか。
は反射的にサンジを見た、サンジの目を見た。
サンジはを只じっと見ていた。それだけで十分だと思えた。
答えはそこにあると、伸ばされた罠に自ら足を踏み入れた。
もう後戻りは出来ない―――――
その後サンジが幾度となく呟く言葉だ。


「迷わないでよ、
「・・・」
「俺だって、迷ってる」


きつく抱き締めたサンジの腕は、彼の言う迷いに網羅されていたのだろうか。
そんなあやふやな腕の中にも拘らず何故だろう、
サンジを抱き締め返したはこの部屋の中消えていく彼の姿を思った。

どんなになるんだこの話