夢を見ていたのだろうと思う。
あれは多分夢だ、だってあんまりにも淋しすぎたのだもの。
夢の中でギンは泣いていた。
何故かしら理由は分からなかった。
只ひたすら泣いていてそうして一人ぼっちだった。
それは現実でも大して変わらないかと思った。
は、恐らく自分を想っているだろう。
昔から、今もこれから先もずっと。
そうしてのそんな想いを知りながらも、
自分はまるで変わる事は出来ない。
一度変わってしまえば元に戻る事は困難になる。
もう変わろうだなんて思いはしないさ。
への想いを今ここで断絶してしまう。
後から、心の中でだけ留まらせておく。
ボクだけはずっと思ってるんよ。決して口には出さず。
一人よがりのマスターベーション。
逢いに来て。
ふと目を醒ます。
「・・・あぁ」
この部屋の中崩れたように眠るの姿が隣に存在する。
無意識か意識化かどちらでも構いはしない。
を傷つけたのだろうか。
只赤く腫れたの瞼ときつく残る手首の痣が酷く目に留まり、
ギンはもう一度溜息を吐き出した。
黒く聳える男の姿とそれに動じる事さえ厭わなかった
己の間抜けさに涙さえ出ない。
こうなってしまった事に対し思う事もないのだが、
只酷く疲れたようだ。
馬鹿じゃないの、莫迦じゃないのあんた。
口走る言葉にギンは何も返さなかったし、
も返答を求めていたわけではなかったものだから。
それでも周囲に事態を悟られないよう、
余り目立った抵抗をしなかったのはギンを許せるからだろう。
あんたの事なら何でも許すわ。
莫迦な事をしていると思う。
まったく、実にくだらない。
ぬるま湯な感じ