苺の眼

最初に潰れた片目には最後の光景ばかりが焼きついていた。
結局の所その片目から光は失われ再起の目処はない。
あの男はを守れなかったのだ。
特に期待さえしていなかったはぼんやりと前を見る。
片目だけでは酷く不自由なので今は休暇をもらっている。
事情が事情だという事で配慮さえ受けてしまった。
二度と戻れないとは思う。
今日もきっとあの男は、を守れなかったあの男は
柑橘系の果物なんて持ちながら、 の見舞いに来るのだろう。
最後の光景さえ見なければ莫迦のように騙されていたのに。
ギンは哂っていたではないか。
の目を潰したのはギンだ。



「・・・隊長」
「具合の方は、どうなん?」
「ぼちぼちですよ」


見えない片目の方に座り込んだギンはを見ているのだろうか。
長い指先がの髪を撫でた。

最低ですよね