三千世界の鴉

サンジは今一人歩いている。夜道だ。
風が酷く冷たく感覚が随分前から麻痺している。
は、只一言サンジに告げただけだ。
それはサンジが求めていた結果に過ぎない。
口に出し答えろと強制し嫌々ながらもが口にした―それだけなのだ。
そうして今に至る。

無理矢理に口付けたあの夜を思い出す。
はぼんやりと自分を見上げていた。
どうだろう。
もしかすればサンジの背後に延々続く夜空を見ていたのかも知れない。

が告げたのは一言。
他の人を愛しているわ。
ごめんなさいサンジ、あたしは他の人を愛しているわ。
だからあなたを愛する事が出来ない。

知っていると呟いたサンジはそれ以上の言葉を聞かず何も考える必要はないと嘯く。
抑えの利かない頭に何を思えというのだろう。

「・・・何やってんだテメエ」
「テメエこそ」

ゾロからは濃い香水の薫が漂っていた。
欲求の解消の為に女を抱くこの男がマトモだとは思わないが
自分よりはよっぽど利口だと思えた。
タイミングの悪い男だとも思った。何故今遭遇するのだろう。

が泣くぜ」
「は?」
「臭ェんだよテメエは」

何を思えばいいのだろう。

ごめんごめん『三千世界』だけでゾロつながり・・・