侵食ロマンティシズム

離してと言いながらも
結局晋助の腕を振り払う事の出来なかった己が悪いのだと
は分かっている。
香の匂いのする男だ。
恐らく彼の所有するものではないのだろう。
目が、恐ろしかった。

余り明かりを好まない晋助は行灯だけをつける。
影が酷く伸びその様が又恐ろしいとは思う。
寝心地のいい布団から抜け出すのは容易だがこの男から抜け出すのは困難だ。
ならば何故拒むのかと問われる。晋助は笑っていた。

顔を背けないようにと両手で包まれ口付ける。
舌の侵入を防ぐ術は今のところ皆無だ。
ハッカのような味がし苦いと呟いたは唾を吐き捨てた。

「裏切りは心苦しいか」
「裏切ってなんかいないわ」
「よく言うぜ」

鼻で笑いキセルに火をつける。
恐らくはこの状態が何より裏切りの証拠になるのだろう。
銀時の顔を思い出した。
ふと晋助に視線を移せば脳内など見透かされているようで気分が悪くなる。

「助けてって言ってみろよ
「誰に」
「野郎の事だ、血相変えて飛び出してくるぜ」

グイと引かれた腕、晋助の胸元に倒れる身体。
鼓動が伝わる。闇に煙が延々と漂い行く先を見据えた。

銀魂のサイトを放浪していてこの男の魅力に気づきました