It caught!

「テメーは何年男やってんだコラァァァァアアア!!!」
突如寝具から蹴りだされた銀時は腹に蹴りを喰らったわけで、
その華麗な蹴りを喰らわせたのはなわけで。
そうして二人はエッチの真っ只中だったわけで。

「な、な、な、な、何ィ!?何なのォ!?」
「出直して来いこの野郎!!」

片足を立て物凄いメンチを切ったにそのまま追い出された銀時は
ろくろく服も着ないまま夜の大江戸へと放り出された。


「・・・旦那ァ。そりゃないですぜィ」
「・・・・・」
「総悟、その変態逃がすんじゃねェぞ」
「了解でさァ土方さん」

最近ここいらを騒がせているという露出狂による被害報告は日に日に増えている。
故に真選組は深夜にも関わらず見回りになんて駆り出されているわけだ。
そうしてタイムリーにもほぼ全裸状態(下半身だけはタオルで巻かれている)の銀時に遭遇する。

「局長に報告だ。これで江戸の平和は守られたってな」
「土方さん」
「ったく、何で俺が―」
「おいそこの気取りっ子」
「誰が気取りっ子だ誰が菓子だ」
「土方さんでさァ」

無言のまま刀に手をかける土方と無言のままバズーカの照準を土方に合わせる沖田。
毎度のやり取りを見ていても銀時はまるで反応を見せず只川を眺めていた。
余りにも、余りにもおかしい。

「とうとういくトコまでいっちまったんですかねィ」
「ああ・・・」

普段から生気のない男だとは思っていたが
こうも抜け殻のようになられてはからかい甲斐もないというものだ。
それでも一応は柵のついた部屋に泊まってもらった。


「銀ちゃん!!一体何やったアルね!!」
「いやっ、もう本当。本当スイマセン本当スイマセン」

翌朝保護者(違)、もとい身元引受人に引き取りに来てはもらったものの
依然銀時の様子はおかしいままであり
与えられた着物を羽織ったまま遠くなんて見つめる始末だ。
仕切りに頭を下げる新八(コイツは頭さえ下げりゃあいいってもってやがる典型的な・・・だ)
と今回は母親面をしている神楽。
強引に頭を下げさせる(多分あれだろ、一人息子に手を焼く母親ってのはそういうもんだと思ってんだろ、
TVか何かの影響か?こりゃあ。やっぱTVってのはガキに悪影響を―云々)
が銀時はそのまま重力に逆らわず腰を痛める始末だ。

「あれ・・・?何か銀さん変じゃないですか?」
「おぉぉい!!今頃気づいたのかよ!!」
「何言ってるネ。ちょっと悪さがばれた位で凹むようなタマじゃないネ!」
「いや、それはそうだけどやっぱ変だって」
「昨日からずっとこうでさァ」

もうじきお迎えが来るんじゃないかって踏んでまさァ、
神妙な面持ちでそう告げる総悟に過剰な反応を見せたチャイナ娘とメガネは
一転して上へ下への大騒ぎを始める。

「お前馬鹿かァァァアア!!一度や二度失敗したからって簡単に人生諦めてんじゃねェェェエエ!!」
「ど、どうしたんですか!?!?昨日はあれだけ上機嫌で出て行ったじゃないですか!!」
「男には七人の敵がいるんだよ、男はいつだってアウトローなんだよ!!」
「『もう俺ここには戻らねェかも知れねェなァ』だなんて馬鹿面下げて言ってたじゃないですか!!」

ふと新八が顔を上げる。

「もしかして銀さん・・・さんに振られたんですか?」

数秒間が開き銀時がピクリと反応を見せる。
総悟は神楽にの素性を聞いている。
土方は煙草を吸っている。間が開く。

「・・・」
「何だ旦那、いい人いたんですかィ。すみに置けませんねィ」
「そうアル、女なんて星の数ね!」
「仕方ないですよ、だってほら。
さん器量もいいし、正直銀さんには勿体無いっていうか月とすっぽんっていうか
豚に真珠っていうか弘法も筆の誤りっていうか」
「振られてねェェェェエエエ!!!!断じて俺は振られてねェからなァァァアア!!」
「もういいですって銀さん、時薬しか効かないんですから」
「振られてねェよ!っていうか時薬って何に効くんだよ、効能は何ですかァァア!!」

半分涙目になっている銀時をよそにくだらねェと呟いた土方は
何故だか自分も涙目になっている事に気づく。

「旦那ァ、いけませんぜィ。かくいう土方さんもつい先刻振られたばかりでさァ」
「てめェェエエ総悟ォォォオオ何言ってやがる、っていうか何で知ってんだァァアア!!」
「土方さんのプライベートなんざお見通しでさァ」
「何それ、気持ち悪っ!!」
「いいから銀さん帰りますよ、ったくもう女学生じゃないんですから」
「女々しいネ!オラ負け犬、さっさと歩くヨロシ」
「おいおい銀さん傷心よ!?みんなの銀さん傷心なのよ!?ってか何で?俺何で傷心なわけ?」

ズルズルと引き摺られながら銀時は万事屋へ戻った。


「いやァ〜参った参った」
「あの・・・お前、もう聞くのも嫌なんだけど何やってんの?」
「すまんのォ金時、まぁた穴ば開けてしもうたぜよ」
「もう嫌だコイツいつになったら人の名前覚えんの?ねえ覚えんの?ってか覚える気あんの?」
「そんなもんあるわけナイネ!おうコラまずはジャンプするネ」
「神楽ちゃん、そんな事やってたら前歯が溶けてなくなっちゃうからね。
それに小銭でどうこうなる問題じゃないから」
「お、そうじゃ金時」
「銀時」
「おお、おお!金時!そうじゃ金時じゃったのォ」
「オメーそりゃあわざとだよな、わざとなんだよな!?突っ込み待ちか!?そうなのか!?」
「おんし夜伽んざっとしちゅーらしいのォ」
「・・・あ?」
「いかんぜよ、男たるもの女をいかに満足―」

ふと座っている坂本の後に人影が見えた。
今の今まで坂本に隠れていたらしい。
視線を感じる、この視線は。

「朝帰りたァどういう了見かしら?」
「・・・ごめんなさい(お前が原因なんだけど)」

硬直状態に陥った銀時をよそにご立腹中のは話を始める。
しかし肝心の銀時はまるで聞けていないしの声に被り
坂本も話を(誰に対してかは分からないが)しているものだから判読不可能だ。
は坂本の後頭部を一発殴り(これが初対面らしいのだが)銀時の頬を一発張り改めて話を始める。


『ソファーに深く腰をかけ足を組んだたとその前で正座させられている銀時』
「大体さァ、あんた何であたしが昨日あんな事したか分かってるわけ?」
「・・・(俯いたまま首を振る)」
「っていうか何で朝帰りなわけ?」

ここで新八が説明に入りは大きな、大きなため息を吐き出す。
そうして新八に対し神楽の耳を塞ぐように言いつけた。

「何するネ、メガネ!!ちかーん!!この人ちかんネー!!」
さん早く、マジで!!」

すうっと大きく息を吸い込んだ
俯いたままの銀時の左耳を掴み鼓膜が破れんばかりの大声で叫んだ。

「勢い任せにガツガツガツガツ動かれてもこっちは痛いだけなんだよ!!この下手くそ!!」

目を丸くしたまま硬直した新八は
そのまま卒倒し神楽は何が何だか分からない様子でt新八両方を交互に見ている。
それにしても大ショック第二弾を喰らった銀時はそのまま意識さえ失った。

「今のは効いたぜよ・・・(気の毒に、ワシなら立ち直れんぜよ・・・)」

坂本の声が虚しく響いた。


はっと目を覚ませば見慣れた天井と共にの顔が目に入り
再度気を失いそうになった銀時は強引に意識を持ちこたえさせられた。
いけない、泣きそうだ。本当に。

「あたしの気持ち、分かった?」
「スイマセンでした」
「そうじゃなくて」
「もう二度としません・・・」
「そうじゃないでしょ!!」

自分本位のエッチ、やめたらいいだけでしょう、
鮮やか過ぎるほどの笑顔を貼り付けたまま銀時の頬を強く引っ張るに抱き着いた。

終わりの見えなかった初銀魂夢ですね・・・
何このラスト。