紗幕の向こう

お前はいい子だと言われ年相応ではないにも拘らず優しく頭を撫でられる。
この手が嫌いだ。何故ならばをいつだって置いていくからだ。
淋しいと泣けども甘いお菓子や美しい装飾品ばかりが数を増やすだけであり
が一人でなくなる事はまずない。一人は嫌いだ。どうしようもなくなる。

「・・・テメエが好きでやってるんだろう?」
「どうしてそういう言い方するのよ」
「泣くからだろうな」

晋助はそう言い視線を逸らした。
元々晋助は泣く行為がとても嫌いであり
女は黙って微笑んでいろとさえ思っているふしがある。
だからは泣く。
ああ、又だ。又晋助が遠くへ行ってしまう。

「行かないで」

震える小さな声でようやく吐き出せた言葉はそんなものでは又口を閉じる。
ゆっくりと振り返った晋助は片目でを見下ろし無言のまま部屋を出て行った。
鍵をかけた。
もし仮に自分が戻らなければは飢え死んでしまうのだろうかと思う。
それでも構わないと思う。
慈悲を受け他の奴らに生かされるくらいならばそうなってもらった方が幾分楽だ。
最も一番楽な方法は自分がを殺してしまう事なのだが
それでは余りにも淋しすぎるではないか。
一人ぼっちはお互い様であり互いにようやく見つけた片割れだと思っている。

「憎めよ」

そうして俺の事で頭の中が一杯になっちまえばいいのさ。
呟いた晋助の声には諦めが混じっていた。

もうね。駄目です。坂本が好きにもかかわらず
晋助がさ・・・何この更新率。