escape

「あんた何で泣いてんのよ」
唐突に降って来た言葉は余りにも場違いなそれであり
総悟は大きな溜息と共に視線を上げた。
お天道様が上がった時から舞っていた雪は今辺りを白く染め出し
歩くたびサクリサクリと音を立てる。
唐傘を差したは只自分を見下ろしていた。

「泣いてなんていませんぜ」
「泣いてんじゃない」
「雪でさァ」

時折無性に心が冷え込む瞬間がある。
それはどうやっても埋められないし時期が過ぎれば姿を潜める。
だからそんな時はこうやって一人夜空でも見上げているに限るわけだ。

「人恋しいってわけ?」

あたしが抱いてあげようか。
そう言い笑うは湯気のたつ袋を抱えている。
使いの途中なのだろう。
そうして温かく燈のともったよろづ屋へと帰る―

「あんたのせいでさァ」
「え?何?」
「責任取って下せェ」

クイと袖を引いた総悟の頭には薄く雪が積もっている。
それを払ったは銀時の為に買ったあんまんを一つ差し出す。拒否された。

そんで初総悟です。叶わない系が希望。恋次パートでお願いしやっす!