記憶の風化する場所

ねえどうしてだと思う?
の口癖は決まってそれであり
その意は自分の思いを伝えたい、それに尽きるわけだ。
だからこそ晋助は大概にして無視を決め込む。
の思いは分かっているのだ、全て把握している。
それでいて応じないだけなのだから話を聞く道理はない。

晋助が出先に向かえばは一人縁側で歌を歌っているし
晋助を怒らせる際には決まって場違いな言葉を発する。
ならばどうして側に置いているのかを考えてみろ、
そう言えばだんまりを決め込む。行先はないのだ。

「・・・何?」
「お前にゃ関係ねェ事だ気にするな」
「どうして」
「俺の言った言葉の意味まで分からねェか」

銀時の事を知っているのだ。だからこんな反応を示す。
予想通りだと晋助は思う。
白夜叉の存在を知りそうして自分を知る。
過去を知る人間は時折邪魔になる。

は晋助に背を向けた。
恐らく泣いているのだろうと晋助は思う。
思い理解しそうして許せなくなる。
その涙は誰の為に。

「―ならどうしてだ?おい」
「・・・」
「手前のその涙はどうして流れた」

答えてみろと迫る晋助には何も言えず
泣いてなどいないと口走る。
ああほら又だ。平手が飛ぶ。

DVです!危険、危険!!何でもさせたいわいっそ。