ごめん。小さな声でそう呟いたと思う。
己の声なのに何て心もとない感じしかしなかったのだろう。
アンプの壊れた感触に似ている。
どこか酷く遠くの場所から発された信号のようでは溜息を吐き出した。
ごめん。そう呟き俯いたまでだ。
何故ならば土壇場で約束を破る事になってしまったから。
ごめんなさい喜助。そう呟いた。
喜助は気にしていない素振りで何を謝るのかと笑いまったく別の話を持ち出す。
そういうところが堪らないというのにだ。
気づかない振りをし全てをやり過ごしていたツケが
今になりまわってきたのだろうとは思う。
ツケは思わぬタイミングで襲い掛かる。その量を増やし。
喜助がソウル・ソサエテイから消え去る寸前の出来事だった。
「・・・ごめん」
「何をそんなに謝るんですかねェ、は」
「あたしは死ぬ事が恐い」
だから死ねない。
そう吐き出した心は果たして真実だったのだろうか。
仮にそれが真実ではなかったとしたら余計な雑念が心を曇らせてしまったのだろう。
そうして全ては喜助に知れている。
その時点で真実は真実でなくなり喜助の眼差しが自分を見る事もなくなる。
それが恐ろしかった。
だから喜助が消えてしまった時に
何もかも全てが無くなってしまったと酷い虚無感に襲われこそすれども
立ち直る気は湧き上がらなかった。
既に死んだも同然だと知ったのはより先に雑念の彼だっただろう。
「・・・可哀想に」
「何?誰が?」
「、お前や。お前が可哀想なんよ」
だから彼はを殺したのだと思う。
性懲りもなく久々の更新なんですが
ギンを雑念扱いとは恐れ入ったわ(我ながら)