天国への持ち物

指先が余り優しくないと感じたあの男の事だ。ムゲン。
触れた瞬間からじくじくとした痛みに襲われそれこそは参った。
余り饒舌ではないにしろくだらない事はよく喋る。
まあ、お互い様だ。

「何やってんの?」
「あ?」
「答えもしないのよねェ、あんた」
「めんどくせえ」
「それは、あたしがって事?」
「そういうのがめんどくせえんだよ」

あらそう。
そう呟き性懲りもなく訪れる沈黙に身構える。
何を恐れるわけではないのに嫌だと思うのだから
自分はその沈黙に何れ殺されるのだろうとは思った。
その際気が触れでもしムゲンに刃を向ければ彼は自分を殺してくれるのだろうか。

やはりムゲン好きだなあ