錫杖が鳴る

眠りに落ちたをぼんやりと見ている。
この女が自分と出会った意味なんてものを探しているわけだ。
くだらない。
身体ばかりを求め合う関係が当然だと思えたのは他に余計な感情が必要ないからだ。
余計なものがなければ面倒が起きる予感さえない。
面倒になればきっと全てなくしてしまうから。
が眠りに落ちてしまった理由はたった一つだ。
泣いていたから。

「はーなーがー」

泣き言を連ねるに何も言えなかっただけだ。
ムゲンに何かを告げる資格はない。
誰だって幸せを求める。その程度の資格はあるだろう。
だからが形のないそれを求める事は当然なのだ。
相手を間違えただけ。それに気づかないだけ。
気づいてほしくないだけだ。

「はなが」

花は散る。何れ散る。朽ちる。
昔誰かが歌っていた言葉遊びの民謡が頭の中を過ぎるけれど
何故か断片的にしか思い出せずムゲンは天井を見上げた。

何だろう。ムゲンがとても書きやすいわけです