交差したナイフ

今更ながらでもいい。
今になり、とでもいうのだろうか。
あたしだからあんたの事は何だって分かってるのよ、
そう断言したに対し公平がくれた一瞥の意味は余りにも無碍だっただけの話。
既に遅かったのだろう。
昔話ばかりが脳裏を横切るのだ。
こんな時に縋る相手がいないのはにしても公平にしても同じであり
どちらがより辛いといえばきっとそれは恐らく。公平の方なのだろう。

「・・・ちゃん」
「パルコだ」
「何やってんの!?こんな時間に!」

パルコだ。
そう言い笑ったは深夜三時過ぎの時間帯に一人歩いていた。
何故パルコが歩いていたのかといえば
単にタバコを買いにコンビニまで出向いていたから。
公平が一人遠くへ行ってしまい
何だかんだといざこざが勃発し始めた昨今
の姿もとんと見なくなっていた矢先の出来事だ。
偶然にも昨日辺り皆で話をしていた。

「ねェ、最近公平に会った?」
「いや・・・」
「ねェ、何でかな」

あいつもう一つだって本当の事言いやしないの。
が呟く。そんな事はパルコにだって分かっている。

「お前は暫く家にこもってろとかさ」

頭おかしいんじゃないの。
そう言い奥歯を強く噛み締めたを只々見下ろしたパルコは
何故だか酷く澄んだ夜空を見透かす。
混乱は更なる混乱を招き何れ混沌に陥る。
昔皆で、京介も含めた面子で
海まで遊びに行った時の事なんかを思い出してしまい遣り切れなくなった。

公平は一切出てこない有様なんですが