掌をじっと見つめそうしてその余りの無力さに溜め息を吐き出した。
こんな両手では何一つとして守る事は出来ない。
大事なあの娘も、大事な仲間もそうして自分自身でさえも。
傷だらけの指先は痛みだけを増す、まるで等価値観にはなりえない。
何の為に生きてきたのだろう、生まれてそうして。
そうしてどうして自分はこんなところにいるのだろう―
下らない思いを噛み砕き忘れる事に没頭した。
答えが見えなければ恐ろしいからだ。そうして苛立つ。
きつくきつく抱き締めあうのはどうにかこの心を落ち着かせたいからだ、
そうでもしなければ不安でいても立ってもいられなくなる。
ようやくに弱みを晒せるようになった。
頼むから―阪東は目を閉じ願う。
頼むから離さないでくれ。決して口には出さないだろう。
は何も言わない。
いつからか位置が逆転している事にも阪東は気づいていた。
を単に抱き締めているつもりがに抱き締められている現状。
愛すべく傷つけるやむを得ない不器用さ。
この両腕でを抱き締めたところで守れる道理もないというのに。
只々愛されたいと。どうして理解ってくれないのかと。
どうせ俺とお前は他人なんだと吐き捨てる。
それなのにどうしてもと一つになりたくて。
俺を一人にするなと縋る。哀れな。
「今日は、」
「・・・」
「痛くないねェ、ヒデト」
ふと呟くは阪東を抱き締めたままどこか遠くを見つめている。
何となくの素振りで必死に口付ければは少しだけ引いた、
心が、嫌な音を立てた気がした。
春道と何だかんだある前の
阪東だという言い訳はアリですか?