少年

ある日突然気づかなくてもいい事に気づいてしまった。
だから全てが無意味に思えたり、そうして切なくも悲しくなってみたり。
ふと我に返り愕然と周囲を見渡す瞬間の何と虚しい事よ。だからきっと。

「・・・何?」
「別に、」

何もねェけど、用なんかねェんだけど。
そう口には出さず心の中で呟いた秀吉は無言のままベッドに座り込む。
酷く迷惑そうなを横目にそういえば
自分でも何故ここにいるのかが理解出来ず
指先の行方ばかりを追った。
何かしら嫌になった、それだけだと思う。
どうでもいい事を考えてしまったのかも知れない。

「あんたさぁ、どうすんのよ」
「何が」
「もうじき卒業でしょ?」

どうでもいいだろ、今そんな話してんじゃねェよ、
そんな愚図つき方でを抱き締めれば簡単に離された。
冗談じゃないのよ秀吉少年、
少しばかり年上のこの女は
まるで可愛気のない口調で秀吉を突き放し傷口に塩を塗る。
は恐らく、今はまだ恐らくの段階。
は嘘は吐かない。嘘はまるで果敢ない。

「心配、とかしてんのかよもしかして」
「なぁに?して欲しいの?」
「べっつに、」
「あんたの事が心配で心配で夜も眠れないわ秀吉」

の言葉の中真実はどれくらい。嘘は果たして。
腹の内を探るのは恐らく癖でありそんな事はまるで必要ないとしても。
本音だけを全開にし秀吉に両手を広げるに対し
今迄一体何が出来たのだろう。

「あんた、俺の事好きだろ」
「好きよ」
「むしろ愛してんだろ、な、」
「あんたはどうなのよ」

馬鹿そうじゃねェよそこは愛してるって言っとけよ、
まるで我侭な要求だけを押し出しこの部屋を出て行く。
どこに行くのよ秀吉少年、がそう言えば
コンビニだよ馬鹿、少年はそう呟いた。

馬鹿ッぷるみたいになってしまいましたね。
もうどうしよう。一体全体何なのあたし・・・
秀吉少年という単語を使いたかったわけで。