呼吸難

先ほどから間を置かず話し続けるサンジを見て、
そんなにも沈黙を避けたいのかと呆れさえしたものだ。
確かに沈黙は御免被る存在だ。
それがサンジ相手ならば、相手ならば尚更の事。
だからサンジがここまでわざとらしい会話(のようなものだ)を
続けたがっている気持ちも分かる。
だからといって場が盛り上がる事もなければ
がサンジを見る事もないのだ。

歩き回るのも疲れ、目に留まった古いモーテルに飛び込んだ。
タバコの灰を落としながら廊下を進むは酷く疲れているらしい。

「・・・カビ臭いんだけど」
「窓、開けるから」
「今何時なの?」
「知らねェよ、もう」
「何?怒ってるわけ?」

本当意味分かんないんだけど。
とサンジの関係は終始こういう形に収まるのだ。
始まりもそうだし、恐らく何れ訪れるのであろう終わりもそうだ。

「・・・何か買ってくるわ」
「行ってらっしゃーい・・・」

女の尻を追いかけるサンジの姿を思い描いていれば
見透かしたようにサンジが笑いすぐに戻ると告げる。
だからはサンジが戻るまでに眠ってしまっておこうと思った、今すぐにでも。
電気を消し何も見えないよう。

やっぱサンジだなあ。書きやすい。