太陽に飲み込まれ

少しだけ途方に暮れただけなのだ。それは何故か。
アラバスタからの帰り、砂漠の最中―
オアシスから離れた場所で車を待っているこんな状況だから。
汗を流すだなんて真似は似合わないのだ。このドフラミンゴには。

「あ〜のさァ・・・」
「喋るんじゃねェ、暑いだろうが」
「あんたさァ・・・」

ドフラミンゴを日陰にし座り込んでいる
それこそ心底うんざりした声を絞り出した。
互いに暑さには弱い類だ、無理はしない主義だから。

「お迎え、まだなわけ?」
「うるせェよ」
「調子に乗って運転とかするからでしょ」
「ああ、うるせェうるせェ」
「うるせェうるせェ、そればっか」

いつだってそればっか。
はそう言いわざとらしい溜息を吐き出した。
望郷。ドフラミンゴに限り―




こことは違い水ばかりに支配された国だった。
故にドフラミンゴは一刻も早く出て行きたく
街中を見て回る行為にさえ虫唾が走った程だ。
車の変わりにカヌーが走り昔ならば疫病が流行ったに違いない国柄。
豊かになり疫病とは無縁になった。
嫌々ながらカヌーを待つ間
草木も生えやしねェのかと独り言ちる。
最悪な国だと思った。

「背中押したげようか」
「何だ手前」
「出迎えに来てあげたわ」
「・・・そりゃあ、ご苦労なこった」

豊かさの代償は命だ。
君主制を強いていた代々の王族を皆殺しにした革命軍の指導者は
新たな地位と力を手に入れた。

「反吐が出る程ムカつく国だぜ」
「お褒めの言葉、有難う」
「とっとと水のねェ場所に連れて行けよ」
「カヌーに乗りなさいよ、ご案内致します」

颯爽と自分の前を歩くその女を見て珍しいと思う。
自分に背を見せる輩は余りいない。
ゆっくりと腕を上げかければ口元を歪めた彼女の横顔だけが見えた。




「ほんっとう・・・死にそうなんだけど」
「うるせェ・・・来たぜ」
「二度とこんなトコ来ないわよ。そもそも何よ、あんたの仲間だか何だか―」
「仲間だなんてしみったれた言葉使うんじゃねェよ」
「あんたさァ・・・」

永遠に一人でいるつもりなの。
何の気なしにがそう聞けば
最初から最後までずっと一人、しがらみ何て一切ねェ。
そもそもお前だってそうなんじゃねェのか。
だなんてニセモノの殻を被った真実を口にするものだから
叫ぶ気持ちも失せたはジリジリと照りつける太陽を見上げた。
目の前が白く、白く白く。黒点に飲み込まれたい。

設定に困ればどこかの国の誰かを出すわけです。
そんな場合必ずといっていいほどドフラミンゴ・・・
今更アラバスタとか絡ませる人、いるのか・・・?