グッデイグッナイ

少しだけ独り言を吐き捨て携帯を切る。
が出ないからだ。
一人暮らしの彼女のアパートの側まで行ってみたものの
明かりはついておらず(だからといってインターフォンを鳴らす事も出来ずに)
今とぼとぼと帰路についているわけだ。
異様に大きな月が自分を笑っていそうで黒澤は舌打ちをする。




午前零時にも拘らず何故はいないのだろう。
口を出す問題ではない。彼女がどこで何をしていようが。
ショップは既に閉まっている時間だし、
今思えば自分はの事なんて何も知らないのだ。
確かにどちらかが付き合おうだなんて言葉を口にしたわけでもなく
何となく転がり込んだ状態。
ヤったヤっていないなんてのは何の物差しにもならないのだ。
だけれど黒澤はメールが得意ではないから送らない。
相手が携帯に出なければ連絡の取りようがないのも事実だ。


「部屋にも入れやしねェじゃねェか・・・」


関係の証拠を求めるより先に
合鍵を手に入れようと考えたのは逃げではないと思いたい。

黒澤の話は全て続いているに違いない。