サマータイムブルース

最低だよなお前。
そう言われ怒る理由もない。
は自分の事をよく分かっているつもりだからだ。
マサと駄弁っていた事象が既に最低だったのだから仕方がない。
秀吉はまるで言葉を選ばず気持ちをそのまま伝える。


「何よ、あんた。突然」
「うるせぇよ」
「こっちの台詞よ」


既に朝日が昇り始めた時間帯。
嫌に早く目覚めた秀吉の気配に起こされた
ゆっくりとタバコを手に取り火をつける。
何となく自分が女だという事実に気づかされる瞬間だ。


「マサにちょっかい出すんじゃねェよ」
「出してないし」
「呼び出すとか馬鹿なんじゃねェの」
「だったらあんたもあたしとヤんなきゃいいのよ」


鋭い一瞥を向け舌打を続ける。互いに。
夜が明ければ姿が克明に映し出される。
帳は境界を曖昧にさせるものだから
又しても秀吉と寝てしまっている、
だなんて言い訳を。一体誰に対して。
マサに甘えたいわけだ。心の底から。身勝手に。
それが出来ていないから未だ彼との仲は続いている。
好き放題にしてみたらすぐにでも壊れてしまうだろう。


「あんた何であたしとヤるのよ」
「理由とかねェだろ、そんなん」
「他に幾らでもいる癖にね」


馴染みの人間じゃないと勃たないっての、あんた。
そう軽口を叩きながらも知っている。
何となく身体を他人よりも早く消費させたい為、
はそう言うが秀吉は知っていた。
少々特殊なの生き様。
愛想と外面のいい両親に隠された家庭の事情。


「何も知らねェ奴らとヤるよかいいんじゃねェの」
「どっちでも―」


何も変わんないわよ。
がそう言えばそうかも知れねェな、
秀吉もそう言い彼は二度寝に落ちる。
果たして秀吉はどこまで知っているのだろう。
少しだけ不安に苛まれながらも眠りに落ちた。

もうね。何て言うかね。
マサ然り、みたいなね。何この位置づけ。