ホワイトベール

オフシーズンの最中この部屋には朝日が零れ落ちている。
髪の毛がすっかり寝てしまっている槌矢はぼんやりと
ベッドに座り込んだまま水色の風が揺らすカーテンを見ていた。
まったく温もりのない、
沈みさえないベッド横にゆっくりと手を伸ばし再三確認を。

「なぁに・・・やってんスかねェ・・・」

折角のオフシーズンだというのに
いつもは必ず自主練をやっているはずなのに。
ホテルのルームサービスは万全だ。
いつだって何かを飲めるし何かを食べる事が出来る。
生活に不備はまったく、不満はまったく。
現地の子が素晴らしい笑顔と共に運んできたトーストは程よく甘く
だからといって未だバンダナをつける事のない槌矢は
一体全体これから先何をしていいのかが分からないでいる。
ついでの様に車で街へ出てみたところで通じない言葉ばかりが
溢れていて一人ぼっちが際立った。
やはり足りないのだ。
ここに。
ここにが足りない。

槌矢大好き。