あんたもうやめなよ。
はそう言う。いつだってそう言う。
「あたしいつか殺されちゃうんじゃないの」
そう言えばキッドがとても傷ついた顔をするものだから
はわざとそう言うのだ。
「どっか・・・遠くに行きたいねェ・・・とおーくに」
「嫌よ、面倒臭い」
「あんたは・・・ほら、いつも―」
現実的過ぎる。
キッドはそう言い僅かに笑う。
「いい事でしょ」
「まぁねェ・・・」
「あんたがいる事に慣れない方が随分楽なのよ」
「そりゃ、又・・・」
「消えちゃった時おかしくならないで済むわ」
雲を掴むようにを抱き締めれば現実味がまったくない。
いよいよ消えてしまうのはどちらだろうと互いに模索する。
どちらも淋しくて恐ろしくて悲しくて。
心が重なりすぎているから庇い合えないのだ。
「俺が消える事は、まずないね」
「どうかしら」
「いっそ逃げますか」
「アメフトの為にあたしから逃げるって事?」
いじめんなよ。
思わずそう呟いたキッドをぎゅっと抱き締めた。
キッド。うん。まあ、何て言うか・・・
どいつもこいつも高校生じゃねえ。