黒苺

「無理無理無理、いや絶対無理だって!」
「いやいやいやいや無理って、お前無理って」
「無理とかじゃなくていや、これ何?いやいや無理だって!」
「無理無理、俺のが絶対無理」
「いっ、」

直後響き渡るの奇声に色気が皆無だった事だとか
そもそも色気のある奇声なんてないだろう、
そんな事を瞬間考えてしまった自分だとか。
兎も角鳩尾に強烈な一撃が加えられその場は終了する。


黄昏る理由は微妙に未だ持続する鳩尾の痛みに付随する。
だから屋上なんかでやたらといい天気だなぁ、
そう呟き黒澤は目を細めるわけだ。
大変憤慨なさったはあれからすぐ眠ってしまい
(それは寝たふりかも知れないが)
黒澤が痛がろうと何かと話しかけようと一切シカトを貫き通した。
携帯にも出ないしメールも無論返信なし。
幾度問い合わせしただろう

B 「んだよ・・・」

何が問題だったのだろう。
昨晩の話だ。
昨晩一月振りにこぎつけたにも拘らずの強靭な反対にあった。
そもそも何故一月もお預けを喰らったのか―
まずは彼女の仕事の関係、黒澤の諸事情
(あの時は確か九里虎絡みのいざこざだった)
次に生理。
何でこんな時に生理になってんだよと呟いた黒澤に対し
来なかったら来なかったであんた困るでしょうと答えた
腹が痛いとぼやき速攻で寝る。
生理痛の酷い彼女は黒澤の存在なんて気にも留めないのだ。

「浮気すんぞ・・・」

正直溜まるものは溜まるのだ。

「何ち?クロサー。にしゃ浮気すっとか」
「!?」
「そらよかこつ。浮気は男の甲斐性たいね」

けどは許さんやろうねェ。
そう言い笑う九里虎は神出鬼没であり
迂闊な発言を迂闊な相手に聞かれてしまったものだ。

「まあ俺には関係なかたい」
「本当だぜ」
「・・・」

おもむろに黒澤の携帯を奪おうとした九里虎から
咄嗟に身を翻し捨て台詞を吐き捨て立ち去る。
の仕事が終わるまで後五時間強。
まあ、引く事もない。


「いや、あたし物凄い疲れてんだけど」
「俺は全然疲れてねェ」

いざ尋常に勝負といわんばかりに構える黒澤を
目の当たりにしたは僅か逃げ腰になりつつ笑う。
確かに昨晩の事を思い返せば悪かったなあとも思うのだ。今になっては。

「途中で止めんな」
「痛いのよ」
「処女じゃあるまいし」
「うるさい」

若さに押しつぶされる自身を見つめた
これで明日一日が潰れたと思いつつバンダナを投げ捨てた。

拍手御礼夢第六弾。驚きの黒澤。
どうにもたまらず九里虎を絡ませてみましたが
これは紛れもなく黒澤夢だねェ・・・
挙句珍しい甘い話だわ。どうしよう。