-----心

仮に明日という定義が無くなってしまっても
大差はないと思った。
にしてみれば明日なんてどうだっていい事柄だし
きっと喜助にしたってそうだ。
明日を求め生きているわけではない。
では何を求めているのだろう。
喜助は、は一体何を求めているのだろう。

陳腐な単語ばかりが口先をつきそうになる。
それは自身が吐き出すから陳腐になるのだろうか、
音に返れば陳腐になるのかも知れない。
心をそのまま差し出そうとしても上手くいかないのだ、
どうしても安っぽいものに変わってしまう。
単に、愛しているだけだと。只単に好きなだけだ。
それだけでは駄目なのか。

「それではこうしましょう、」
「止してよ」
「まだあたしは何も言っちゃいませんが、」
「あんたの言葉なんて分かってる」

だから余計な事言わないで、
少しだけうんざりとしたのは何も喜助に対してなわけではない。
こんな状況にうんざりしているだけだ、もう辟易だ。
明日を見ない喜助と共に
朝焼けでも眺めようだなんてまったく笑えない話なのだし
色んな提案をする喜助に至っては弁解の仕様もない。
愛してしまったと呟いたあの喜助の横顔を。
なし崩し的に全て壊れてしまえばいいのに。

「まったく、可笑しな話ですね
「何がよ」
「あたしと、あなた」

本気になってしまった事をまるで後悔するように
喜助は言葉を飲み込む。 喜助の心など分かるわけがない、
そうしての心も喜助には分からないだろう。
好きにすればいい、
は内心でそう吐き捨て
感覚の麻痺した心とやらを放棄した。

死神メインの頃の喜助は
全体的にこういうどうにもならない感じだったね。
あたしはこれで一体どういう夢を見ろと言うのだ。