いきているもの

本当の事になんて気づかないように生きていけば
案外楽だという事に気づいた
何だかんだと理由をつけながらも
結局のところ喜助と寝てしまう己に諦めさえ抱いているらしい。
淋しいからだとか一緒になりたいからだとか
その程度の理由付けならば容易に出来てしまう。
だからそんな陳腐な言葉だけは使いたくはないが
為愛しているという単語を使う。余りにも卑怯な。
股を開く行為が当たり前になるというのも可笑しな話だ。

「いい加減、声、出しませんか」
「んっ、」
「出しませんねェは」
「は、ぁ、」

それだけが心残りだと言わんばかりの喜助は
ここ最近やたらと執拗に、そうして陰湿になっていると思う。
思わずやめてよだなんて言葉が口を飛び出すのもそれが理由だ。
酷く遊ばれているような感覚に陥ってしまう。
喜助の指が性器に侵入、わざと雑にかき回す瞬間。
それに伴い触れる唇。全てが根の深いお遊びのようだ。
時折必死に愛していると呟く喜助の心中になど大して興味もない。
きつく抱きしめるこの身体さえあればいい、ああ。
ああ又嘘を吐いてしまった。

「もっと、足開いて」
「ん、んんっ!!や、」
「ホラ、
「あ!んんっ!!」

喜助の胸を精一杯押し足を閉じても意味はない。
偶に自分でも分からなくなる、本当に嫌なのかどうなのか。
どうして嫌だと口走りそうして身を離そうともがくのか。
おかしくなっちまいなさいよ
いっその事いかれちまったらどうですか。
喜助の言葉が黒くなった頭の中を網羅する。
喜助は何を求めているのだろう。そうして自分は一体。


「んっ・・・」
「あたしのも触ってもらえませんか」

だけずっと気持ちいいってのもズルイ、
そりゃあ、ズルイ。
喜助が耳元でそう囁き笑う。
ふと我に返ったようには指先を伸ばし
喜助の服の隙間に潜り込ませた、
温い性器を掴めば喜助が嬉しそうに笑った。

「もっと、」
「ん、」
「もっと先の方、触って」
「ん、ん」

先刻から延々触られていたクリトリス、
それを撫でる指先が力を増す。
思わず喜助の性器から手を離しそうになれば
覆いかぶさるように喜助が口付けてきた。
もうどうなってもいい、予期せずそう思う。
きっとずっとそうは思っていたと思う。
どうなっても構いはしないのだ。
それはきっと喜助も同じだ。
こんな瞬間に考える事柄ではない事
事態百も承知なわけだ。

「いいですよ」
「ん」
「挿れますか」
「んっ」

もう少し足を開けと囁く喜助の言葉を聞きながら
満ち足りる圧迫感だけに身を任せた。

以前のアンケで出てた
喜助裏ですな。最中、リアルに真っ只中。