ちゃんと知ってるくせに








その女と出会ったのは、薄暗い廃墟だった。
無論職務上での出会いであり、彼女は只の生贄だった。
脆弱な、生まれながら完全に狙われるだけの獲物。
小柄で細身な若い女。
対する男は、政治家としてTVにも顔を出す、
表向きは新進気鋭の清廉潔白な若手実業家。
その実、十代から二十代までの若い女に目がない、
ギャンブル狂いのよくいる男だ。


若い女を言葉巧みに騙し、自分自身を賭けさせる。
正直なところまったく興味を持てないし、
何より価値を見出せない為、
この会員の立会人は酷く退屈なのだが
(そもそも相手は年端もいかない若い娘だ、知の掛け合いにもならない)
昔からの会員の為、無下にもできず今に至る。


若い女は面倒だ。
すぐに泣くし、勝負も呆気なく決まる。


「賭…朗?」
「はい」
「私、お金なんて持ってません」
「それは構わないんですよねェ…
あちらはあなたを賭けて欲しいと仰ってるんですよ」


毎度のやり取りを行い、
この女も呆気なく慰み者に落ち、
最終的には骨になるのかと思っていればだ。


「じゃあ、あの人は何を賭けるんですか」
「…」
「あの人も、全てを賭けるんですか?」


女がそう言い笑った。


「あ〜〜〜えぇ〜〜っと…どうなんでしょう、ええっと…」
「構わんよ、私は」
「はぁ…」


この時になり初めて興味を抱けた。
威風堂々としたこの男が崩れ落ちる姿を
目の当たりに出来るのだろうかという、歪んだ希望。
相手はこの小娘だ。
こんな小娘にしてやられるこの男の姿が
何としても見たいと思えた。
歪な性癖だと知っている。


「では、始めます」


その一時間後、何もかもなくした男と、
男の全てを奪った女がその部屋に存在した。
賭朗の会員権をも奪った女は名をと言い、
それから彼女の専属立会人として動く事となる。








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基本的にという女は人畜無害で、
勝負をする事は滅多にない。
彼女は彼女で何かしらの目的があり、
賭朗会員になったのだろうが、イマイチ見えてこないのだ。
只、彼女は平気な顔で笑い嘘を吐く。
誰もが彼女の見た目に騙される。
この女は果たして何を求めているのだろう。
安らぎ?バカな…。


「え?何で賭朗会員になったのか?」
「…はい」
「いきなりどうしたの?」
「いえ、特に意味はないのですが…気になっただけです」
「会いたかったから」
「…?」
「弥鱈さんに会いたかったからかな」
「…」
「なーんて」


だから、彼女は平気な顔で嘘を吐くのだし、
弥鱈自身は基本的に誰にも興味を抱けない。
質問をはぐらかされた弥鱈は、
それ以上深追いするわけでもなく彼女の背を見送った。




第三弾、満を持してちゃんみだ!!
ちゃんみだ好きなんですー
というか私は未だ、嘘喰いの中で
誰が一番好きなのか決めかねている
ちゃんみだは割と上位で接戦してるというか。。。
故に何か固定ヒロイン風味になってしまった

いや、実は巳虎とちゃんみだのエログロ
みたいな話も考えてるんですが
ちゃんみだ、女にも興味なさそうだなぁ男にも。。。
ゲームはしてる癖にな

2015/09/10

水珠