愚かな駆け引き










お前も随分大概な女だなと笑い、
いつものように部屋へ招き入れる巳虎は優しいのだろうか。
それは誰に対して、という話になる。
に対してなのか、巳虎自身に対してなのか。



逃げ出してきたこんな女を招き入れる理由は何なのだろう。
別に何かしらの関係が築かれているわけではないのだ。
だけれど何故だろう、彼はまんまとを招き入れる。
身体だけが目当てだと言われた方がまだマシだ。
罪悪感が多少は薄れる。


「メシ、食ってきたの?」
「あー別にいいや」
「何か食えよ」


タワーマンションのワンフロアを
借り切っているこの男の生活は贅に塗れている。
基本的に生活感のない部屋は彼の好みであろう
白を基調としたインテリアに彩られ目が潰れそうだ。


「あんまり時間もないし」
「何しに来てんだよ」
「それ、言うの?」
「ホラ」


冷えたグラスを渡され、注がれるシャンパンを見つめる。
注がれる先から弾ける炭酸の粒。浮かんでは弾ける。
この部屋に来ると何もかもがどうでもよくなる。
生活感のなさがそう思わせるのだろうか、分からない。


見た目よりも数段高いアルコール度数を流し込み服を脱ぐ。
寸分たがわぬタイミングで照明が切り替わり、
間接照明の淡い光が長い影を造った。


「これ、強い」
「でも、美味いだろ」
「あたし今日は帰らなきゃ」
「何とでもなるだろ」


その気になりゃあ。
この関係が始まる前、この男は言った。
嘘もロクに吐けねェのか、お前。賭朗の人間だろ。
今の私に同じ事を言うだろうか。


「雄大が来るのよ」
「ハッ」
「何よ」
「今、携帯光ってたぜ。あいつからじゃねェの」
「…」


腕を伸ばし携帯を掴む。
画面には―――――


「…あんた、知ってたのね」
「俺ァ何も知らねェよ。統計で予想しただけだぜ」


これまでと何も変わりゃしねェ。
それなのに、この大概な女は
見るからに落ち込んでいるもので、
身体ごとグッと引き寄せ抱き締める。


別にこの女が誰と何をしていようが興味はないし、
別にこの女しかいないわけでもない。
門倉に何か言うつもりもないし(そんな面倒は御免だ)
だからこれには意味なんてないのだ。


うんざりする程繰り返されたこの遊びは
未だ終わりを迎えず、
恐らくは息抜き程度で挑んだは溺れている。


この泥濘に仕掛けられた罠に気づく時、
その瞬間の顔が見たく、
だけれどこの関係を壊す事は惜しい。


「大概な女」
「…そんなの」


あんたも同じでしょ。
はそう言い、携帯を投げた。
布の上に落ちる感触。
随分嘘が上手くなったものだと思った巳虎は
何も答えず、腕を伸ばす。


こんな事を繰り返しても、何れ終わりはくるのだと、
当たり前の結末は知っているはずだ。





ビッチです
ヒロインは単なるビッチです
そして巳虎はリア充です
セレブリア充です
究極ですね

そして名前だけ登場の門倉。。。
ごめんなさい門倉、すいません門倉
こういう巳虎が書きたかったが為に
そういう立ち位置になってしまった
一番そういうのマトモかなって思って、、、
雄大くんがさ、、、

ヒロインは何號かの部下的なポジションで

2015/09/15

NEO HIMEISM