いずれその時は来る










あれだけ激しい情事を重ねても、
翌日には何事もなかったかのように振る舞えるのが人間だ。
まるで狡猾油代わりに愛情を差し出し、
体液の交換と共に心を消費する。


別に愛だとか恋だとか、
そんなものだとは露とも思っていないけれど、
流石に目の前で目の当たりにすると
多少なりとも不快な気持ちになる。
人なんて、そもそも信用ならない生き物だ。
特に、女なんてものは。


兎にも角にも、弥鱈は
普段より更に不機嫌そうな面を引っ提げ歩く。
朝方、どうやら は帰っていたらしい。
まあ、いつもの事ではある。



元々何となくの出会いから何となく続いているような、
フワフワとした曖昧な関係だ。
都合のいい時に会えて、ヤれればいいだけの二人。
そんな、非生産的な関係も中々悪くない。


大事な事には触れず、大した事も話さず、
耳障りのいい言葉だけを吐き出す。
互いが互いに精神的なものは一つとして求めず、
存在理由は気持ちよさ、それだけ。
知っている感情は喜楽の二つのみ。


ポケットに突っ込んだ手、指先は物証に触れた。
目前、50m先には とその連れ合いが並んで歩いている。


果たしてこれは、どちらが火蓋を切った事になるのだろう。
普段忘れた試がない癖に、
今日に限りベッドの中にピアスを落としていった なのか、
その物証を確保し、今、
現に確保に向かおうとしている弥鱈なのか。
間抜けはどちらだ。


「失礼」
「!」
「こちら、お連れ様が落とされましたよ」


元々性根が歪んでいるもので、
別に のせいでこんな性格になったわけではない。
恐らくは。


連れ合いの方に声をかけた弥鱈は、
指先で掴んだピアスを鼻先にぶら下げる。
そうして一瞥。
すっと視線を逸らしたの顔はよく見えず、
表情を読む事は出来なかった。
















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そうして又、
今日も はここへ来るのだし、
弥鱈もそれを断らない。
彼女の表情は普段と何ら変わらず、
いで立ちも何も、一つも変わらない。


「何だったのよ、アレ」
「別に意味なんてないです」
「残念だったわね、悠助」


あたしの崩れ落ちる姿が見られなくて。
下からのぞき込むようにそう言うのだ。
こんな程度の女の癖に、腹の底を見透かし、小癪な。


「貴女にそんなもの、求めちゃいませんよ」
「どうだか」
「わたしの愛するあなたが、幸せでありますようにと」


願っているだけだと、
普段と変わらない表情で弥鱈はそう言う。


今度はどちらが仕掛けた勝負か。
賭けの対象は心だが、
そんな勝負を果たして は受けるだろうか。





相変わらずな(当サイトで)主人公とちゃんみだ
この主人公は恋人有りでも既婚者でも何でもいいです
ちゃんみだに性欲があるかどうかは分かりませんが。。。
とりあえずウチではあるという事でおねしゃっす
性欲ないとやってけないもので(すまん)
ちゃんみだって過去のみタメ口?だから
何か、、、喋らせ難いよね
2015/09/16

NEO HIMEISM