コレだけでいいだなんてよく言うわねと言い、
は立ち上がった。
どこに行くのだと問い詰めたいところだが、
生憎怠く身体を動かしたくない。
情後のこんな気怠い雰囲気の中、
何故この女は立ち上がっているのかとさえ思う。
ムードもクソもない女だ。この、という女は。
それは知っていた。
こうして身体を曝け出す間柄になる前はどんな距離感だった。
最近そんな事をぼんやりと考えてしまう。
身を交わすことが目的だった頃は今よりも問題は簡単で、
腹の内を探り合いながら距離を如何に近づけようかと模索した。
あれはあれで楽しかったと思う。
最初にヤった夜は何をしていたっけ。
「帰るの…?」
「だって仕事あるから」
「もう少しいたらいいのに」
決して視線を合わせない弥鱈は枕を抱き締めたまま呟く。
何でそんなに可愛いのよ、思わず笑った。
あんた、そんなキャラだったっけ?
「立ち合いが入っちゃったから仕方ないでしょ」
「…それは、まぁ」
「抜いたら殆ど連絡取れなくなるの、そっちでしょ」
「……」
この形を本当に望んでいたのかと今でも思うだけだ。
黒いスーツに身を包み、
颯爽と部屋を出ていくの姿を見送り、
やはり色々と思い返してしまう。
確か、あの日、自分はを助けたのではなかったか。
それは、立会人として。
の消えた室内は少しだけ温度が下がる。
ベッドに埋もれたまま緩々と睡魔に襲われた。
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夜半過ぎから降り始めた雨は止む気配を見せず、
人々を冷やし続けた。
初めての立会で油断してしまったのかも知れない。
取りあえず自身の責務を果たし、賭朗会員を守りはしたものの、
どうにも嵌められたような気がしている。
ここ最近、他の会員からその権利を奪い取ったという男だった。
何れ賭朗に仇為す輩かも知れない。
先程報告したが、能輪の反応はそんな色合いが濃く表れていた。
「……」
粛清は完了したが、腹部に裂傷を負った。
降りしきる雨が全身に注ぎ、体温を全て奪っていくようだ。
数時間前には全身の血液が沸騰していたというのに皮肉なものだと思う。
だけど、立会人なんてそんなものだ。
命の価値が極端に薄い世界に生きている。
そんな自身を慰めるつもりはないが、
こんな局面は二度目だなと思い返した。
あの日もこんな夜で、
こんな怪我を負っていて―――――
「お、いたいた」
「…門倉立会人」
「死にかけてるな」
目の前に現れたのは、
恐らく能輪に依頼され自身を回収しに来た門倉だ。
痛む身体を起こし、門倉の肩にもたれた。
逆流した血液が口の中に溜まり、気持ち悪く吐き出した。
「…なぁ、」
「…何です」
「こうやってお前を助けたら、ヤれんの?」
「…はっ」
思わず笑えば、門倉も笑った。
この男が何故知っているのかは分からないが、
この男が本気ではない事くらい知っているのだ。
前回助けに来たのは弥鱈で、ずるくも互いが互いを誤魔化した。
こんな状況だから仕方がないと、こんな関係になっても問題はないと。
まさかいつだって思い出すとは思わずに。
「あいつどうなの?」
「普通」
「普通って何だよ…」
雨脚はより一層、激しさを増している。
当然ながら弥鱈はこんな事態など想定もせず、
きっとまだベッドに埋もれている。
私の書く話によくある、
謎の三角関係(のようなもの)です
海賊でいうところの、
ローとキッドみたいな感じです
(当サイト内での扱いが)
他意はない
雄大くんって割と歳いってると思うんですが何歳なのかな
ちゃんみだは二十代でしょ?多分。。。
2015/09/28
NEO HIMEISM
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