無骨な腕が掴む君の希望










俺彼女出来たんだわ、だなんて
馬鹿みたいに幸せそうな顔でのろける門倉を見て
絶望の淵に立たされるというのはこういう事なんだろうなと思った。



え?彼女?え?
門倉に彼女?えっ?
そんな予兆どこにもなかったし、
そもそもコイツこんな生き方してる癖に
彼女を作るヒマなんてどこにあったの?
彼女と言うか、
それに相当する女とどこで出会ったの?



門倉だから大丈夫だわと(何の根拠もないけど)
思っていたわけで、私の読みが余ったかと言わざるを得ない。
ショックがでかすぎて泣きそうだわ、
そもそも私が門倉狙いっていうのは当の門倉以外皆知ってたわけで、
その周囲からの視線にまず耐えられそうにないわ
(弥鱈テメー、笑ってんじゃねー)
ちょっと待って、今、私、ちゃんと立ててる?
立ち眩みがすごいんですけど、、、



!」
「!?」
「ちょっ、てつ、手伝ってくんね!?」



南方…。
見るに見かねて助け舟を出したつもりかも知れないけど、
お前には話したいことが山ほどあるからな…。
後、その絵に描いたような挙動不審ヤメテ。
傷が深くなるからヤメテ。
そして銅寺さん、
元気出せ、みたいに親指立てるの本当にヤメテ。
こいつら揃いも揃って本当にムカつく…。



そうこうしている間にも、
門倉の馬鹿野郎が今度紹介するわ、だなんて
悪魔の宣告をしてくるもので、逃げる様にその場を後にした。










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「あんた知ってたんでしょ」
「あー」
「いつからよ。いつから知ってたのよ」
「えーっと」
「っていうか、知ってるんなら何で教えてくれないのよ!」
「だって度々、あいつ言ってたし…」
「嘘!」
「嘘じゃねェよ〜〜相談もしてたじゃねェかよ〜〜」



が門倉の事を好きな事は知っていたが、
その割には門倉の相談(所謂、今の彼女との)にも
普通に対応していたもので、
てっきりは気づいているのだと思っていればこれだ。


確かに門倉もよくない。
に対して親密過ぎた。
彼にとっては妹のような存在だからとしても。



「こんな、こんなのってあるかな!?」
「あったんだな…」



感極まったの目にはずっと涙が浮かんでいた。
今にも泣きだすんじゃないかと冷や冷やしていたが、



「あ」
「…!!」



決壊は呆気なく訪れ、
ポロポロと零れる涙に自身も驚いているようだ。
ひと時ばかりの静寂が訪れ、目が合ったまま動悸ばかりが増す。
何か声をかけなければならないと思うのだが、言葉が出てこない。
知り合って随分時間は経過していると思うのに、
の泣き顔を見たのは初めてだ。
きっと、門倉も知らない。



「あー」
「…」



互いに無言のまま、
まるでそういう決まりでもあるみたいに、
泣くを抱き寄せる。
だっても断らないし、
確かに自分でも何でこういう事をしているのかって分かりゃしないけど、
何か。何か、こういうもんなんだろ?












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が門倉の事を好きだと知っていた。
どうやらその片思いは自分が賭朗に入る前から続いているらしく、
周知の事実でもあった。



こんなに好意を露骨に表す女を手元に置き、
この男は何を考えているのかと思ったが、すぐに気づいた。
門倉は本当に気づいていない。
鈍いとか鈍くないとかのレベルじゃないだろと思ったが、
あえて口にはしなかった。
はとても人懐こい性格で、基本的に誰からも愛される。
まんまと自身もその枠に嵌ってしまうとは夢にも思わなかったが。



だから今、が感じている悲しみのような気持ちは
俺がずっと抱いていた思いと同じなんだよ。
そんな事は口が裂けても言えないけれど。



門倉の事を思い泣く女を役得で抱き締める。
随分皮肉なものだと、気づかれないように、笑った。




がっつり序盤に雄大君に振られる主人公 笑
何か南方くんがキラーみたいな立ち位置に
私にしか分からない例えスイマセン
私の中の南方はこう、可愛いキャラです
あの、直器くんと再会した時のイメージで
あのコマの南方、きょどり過ぎだろ、、、

2015/10/12

NEO HIMEISM