Faint young sun paradox/暗い太陽のパラドックス

• この街は存分に腐り切っている。
  世界から悪がなくならないのも納得で、
  署内には賄賂が蔓延しているし、この資本主義の世界だ。
  大体が金で解決出来る問題となる。
  
  
  小雨降りしきる夜更けに薄汚い路地裏に顔を出す理由は只ひとつで、
  ここ最近懇意にしているマフィアから呼び出された。
  数回、便宜を図ってやった相手だ。
  
  
  貧民層の住まうこの地域は治安が悪い。
  そいつは路地奥でアバッキオを待っていた。
  作り笑顔が貼り付いている男で、仕立ての良いスーツを着ていた。
  
  
  男はアバッキオを連れ路地を奥へと進む。
  金回りの良さげなそいつは売春宿を任されていると言い、
  まるで廃墟のような建屋に招き入れた。
  
  
  見る限りあばら家のそこを先に進む。
  大きな扉の前には屈強な黒人が二人立っており、男に向かい深々と首を垂れた。
  建屋に似つかわしくない豪勢なドアだ。
  
  
  ドアの先には豪華絢爛な内装が広がっており、
  そこが男のいう売春宿だとすぐに理解出来た。
  
  
  あなたとはいい付き合いが出来そうだ。
  男はそう言い、とある部屋の前で止まる。
  こちらへどうぞ。愉しんでくれ。
  ほんのお返しだ。
  男はドアを開け、中に入れと促した。
  
  
  そこにはいた。
  背後でドアの閉まる音を聞いた。
  ベッドの上に座っていたは見る限り子供で、一瞬にして心が冷えた。
  
  
  これはこの街に蔓延る悪夢の具現化だ。
  現代にも金で売られる子供は一定数存在する。
  
  
  青白い顔は酷く緊張した面持ちでこちらを見上げる。
  成程、子供ながら造形は酷く美しい。
  数年後には立派な女性となるだろう。
  だからって今はまだ子供だ。
  
  
  この街では特に珍しくもないのだが、
  大方ロクデナシの両親から金で売られたのだろう。
  そういう子供は少なくない。
  街角に立つそういう子供たちは目つきから違う。
  少なくとも目の前の少女のように怯える事はない。
  
  
  これは恐らく初物だ。未成年は高く売れる。
  この娘を差し出すという事は、そういう弱味を握る腹もあるのだろう。
  相も変わらず腐った奴らだと溜息を吐き出した。
  
  
  そもそも女を買う気もないのだ。
  小さな声で、子供じゃねぇかと吐き捨て部屋を出ようとするも、
  そんな事をされては殺されてしまうと縋られそれも出来ない。
  手を出す気は更々ないが、
  相応のタイミングまで時間を潰すかと、少しだけ話をする。
  
  
  娘は名をと名乗り、アバッキオが初めての客なのだと告げた。
  大方の予想通り、ジャンキーの両親は薬代欲しさにを売った。
  クソみたいな世界だが、売られる前も大差なかったらしい。
  衣食住の約束をされている分、ここの方がまだマシなのだと彼女は言った。
  
  
  はアバッキオに初めての相手はあなたがいいと告げるが、
  そいつは無理だと断る。
  
  
  生まれの負も育ちの負も蔑むわけじゃあない、別に同情するわけでもない。
  そこを訪れたのはそれが最初で最後だ。
  彼女がどうなったのかは、知る由もない。
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
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  敵対するマフィアを掃討し、
  奴らの陣地を振り分ける為にブチャラティと共に出かけた。
  奴らはまあ手広く商売を行っており、
  リストランテやバー、賭博場を其々に割り当てた。
  
  
  奴らにとっては上が誰でも大差ない。
  みかじめ料を払う相手が誰でも構わないのだ。
  
  
  ブチャラティが最後に向かったのは記憶に残る裏路地で、記憶を辿る様に進む。
  そこには例の売春宿がまだあった。
  ここが最後の店だと告げるブチャラティに何も答えず続く。
  
  
  はまだいた。
  美しく成長し、その店のナンバーワンとして君臨する。
  
  
  彼女はこちらに一瞥もくれる事無く、
  次のボスであるブチャラティと話をしていた。
  ここが失せれば仕事を失う女達が実際に多数いる事を考慮し、
  経営は続ける方向で話はついた。
  
  
  売り上げの回収法について話をしたいと言うがこちらを呼んだ。
  ブチャラティに視線を向ければ、ここは任せたと言い先に戻る旨を告げられる。
  激務の彼だ。仕方がない。
  
  
  こちらへ。
  そう言うに続き隣の部屋へ入った瞬間だ。
  
  
  会いたかった。
  はそう言い抱き着いて来た。
  どうやらこちらを覚えていたらしい。
  
  
  成長した彼女はとっくに女になっていて、子供の面影はまるでない。
  だからといって特に言う事のないこちらを気にかける事無く、話し続ける。
  
  
  自身が店に出る前にマフィアのボスに見初められ愛人となった事、
  彼はが初モノだった事実を大層喜び、溺愛した。
  誰も指名できない幻のナンバーワンの誕生だ。
  その事実を聞き、自身がどうすべきかも分からない。
  
  
  
  「汚れたわたしを哀れに思うの」
  「…いや」
  「アバッキオ」
  「…」
  
  
  
  ここでの再会になど何の意味もないはずだ。
  あの哀れな娘はこうして女となった。
  そうして焦がれるようにこちらを乞う。
  
  
  全てに意味などないんだぜと呟きながら髪を撫でる。
  そんな事はわかっているわと、も嘯いた。
  
  
  
  
  
  
  
  
  

  初めて書いたJOJOはアバッキオでした！

  現在アニメやってますね～

  私実はJOJOは５部まで文庫本も持ってるのですが

  夢を書いたのは初めて～～～～

  私の５部の推しはアバッキオです

  格好いいよね、、、見た目が特に

  
  

  
  2019/3/25
  
  NEO HIMEISM