祝言の準備は刻一刻と進み、明日の朝には名が変わる予定だ。
これまで好き勝手にやってきたが、
どうやらこれが年貢の納め時というやつのようで、
外堀を完璧に埋められ今に至る。



どうやら実家の商売で問題が生じたらしく、
これまで放置気味だった父親までもが執拗に祝言を勧めだし、
いつの間にか縁談が進んでいたわけだ。
彼らの様子を伺う分には、
多額の金が融資されたのではないかと思う。



よりも二回り程上の男が相手だ。
無論、望んだ祝言ではないし、
そんな男の嫁になるだなんてゾッとするが今更逃げる事が出来ない。
これは絶望すべき状況なのだろう。



未だに実感がないだけなのだ。
それにしたって実家の座敷牢を
自身に使われる事になるとは夢にも思わず、
我ながらこんな自らは只の生贄なのだと笑えた。



「…
「!」
「お前は、それでいいのか」
「だってねェ…仕様がないじゃない」



ここで逃げ出せばこの家はどうなるだろう。
年老いたあの両親は。



「…ムゲンは?」
「ここには来ていない」
「…そう」



今日が最期の日だと知っていた。
エゴだとも知っていた。
あの男がこちらの思いを読むとも思えないし、
別に言葉を欲しがるとも思えない。



さよならという簡単な別れの言葉を告げれば、
少なくともこちらの気持ちは整理がつくのかと思ったが、
彼はそれを許さないのだ。思い出にさえなれない。



「望んではいないのだろう?」
「…そうね」
「お前の気持ちは分かった」



ジンはそう言い、踵を返した。
彼もとても損な役回りで、わざわざ危険を呈してここに来たのだ。
こんな事をしてくれたら余計に離れ難くなるというのに。
泣きたい気持ちをぐっと堪え、最期の日を耐える。
これから先がどれだけ地獄だろうと―――――



「うるせェんだよ!!!」
「!」
「退け退け退け退け退け!!」



聞きなれた声と騒動。
思わず立ち上がる。
こんな胸騒ぎはあってはならないもので、
彼の声が近づくという事は誰かの命が奪われているという事で、
こんなに胸がときめいてはならないのだ。
それでも。
襖に線が入り、数秒遅れで開かれる。
待ちわびた男が、そこに。



「…ムゲン」
「そんなにめかし込んで、どこに行くんだよ」



全身血に塗れたムゲンがそこにいた。
その血の出所はあえて聞かない。
只、この数日に抱いた決意が何の意味もなさなくなっただけだ。
彼の一振りは全てを斬る。
今まさにこうして、格子さえも。



「あぁ、悪ぃな」
「?」
「お前の親父とお袋、殺しちまったわ」



だからこんな所に用はねェだろうと言い、
手を差し出すムゲンは優しいのだろうか。
反射的にその手を取った
そんな詰まらない事を考えていた。





手放しでは



喜べない






まさかのマングローブ破産の報を受け、、、
サムライチャンプルーという最高のアニメを
世に送り出してくださった
最高の会社だと未だに尊敬しておる次第です
内容はこんなですが。。。
因みにうちのジンの絡み方は昔からこんな感じです

2015/11/01

NEO HIMEISM