バラと拳銃
その日はどうしたって変な日だったのだ。
そもそも先週末に起こったトラブルにより
レギュラーメンバーの大半が負傷し、
その結果業務に支障をきたした事が発端だ。
ここいらの地域は街ごとにマフィアが台頭し、縄張り争いを繰り広げている。
そのマフィア達の運営するクラブの黒服兼用心棒。
より集めで纏められたとはいえ、それなりの実力がなければ話にならない。
基本的に自分たちの街で飼っているギャングに賄わせるマフィアが多い中、
この街を取りまとめるボスは良くも悪くもビジネスライクな男で、
金を払い成果を出す相手であれば誰でもいいと言う考えだ。
だから流れ者のを雇った。
只、そういうやり口の為、こういった突如訪れる危機には弱い。
ボスにしてみればどうでもいい事で、
失敗は単にのミス、それだけの話になる。
こいつは困ったと考えあぐねていればだ。
確か場所は街の中心部にあるダイナーで、
半日かけて集めた資料を相手に唸っていた時だ。
カウンターに座っていた男が声をかけてきた。
「用心棒を捜しているのか?」
「…お前、見かけない顔だね」
「ああ。俺はこの街の人間じゃないからな」
「どうして声をかけた?」
「あれだけ大声で騒いでりゃ、嫌でも耳に入るさ」
そう言われ、確かにと納得する。
つい数分前まで携帯相手に怒鳴り散らしていたからだ。
男は自らを17号と言い、用心棒が欲しければ紹介するぜと告げた。
この世界、偽名を使う奴は少なくないし、こちらは本名さえも忘れた輩だ。
特に信用する理由もなかったが、完全に手打ち状態だ。
何もせずボスに処分されるよりはマシだと携帯の番号を渡した。
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結果、その判断は英断だったといえる。
17号と別れて3時間、
もうそろそろクラブがオープンするといった時間帯だ。
ギリギリまで連絡は来ず、
まあ話自体、棚ぼただったからなと諦めかけていた時だ。
二人の男が来た。
否、正しくは飛んで、来た。
何なの、もしかして、こいつらなの。
予想は見事的中し、二人の男はこちらへ近づいて来る。
うーん。一人、何か緑色なんだけど…。
緑色でない男はやけに陽気で、
17号から用心棒の仕事を紹介されてきたんだけどよぉ、
ここであってっか?なんて話しかけて来る。
とりあえず黒服を渡し、着替えさせた。
そのまま店の入り口に其々を立たせ、
変な奴が来たらつまみ出してくれと告げた辺りだ。
遠くからアクセルをベタ踏みする音が聞こえ、目を細める。
すぐに先週の奴らだと気が付いた。
ヤバイ、襲撃だ。
だってこの二人、さっき銃を受けとらなかった!
が銃を取り出し、銃口を車に向ける数秒、
コンマ数秒の間に悟空が立ちふさがった。
何、この人私を庇って!?
乾いた音が数発響き、すぐに車は立ち去った。
呆然とするの前、恐らく撃たれたであろう悟空は―――――
「…悟空さんだっけ?あの人マジでヤバイね」
「…」
「撃たれても全然平気じゃん、あれ、どういう事?」
「鍛え方が違うんだ」
撃たれたであろう悟空は怪我一つ負わず、
放たれた銃弾を素手で掴んでいた。
映画でよく見るあれだ。
え、大丈夫なの。
思わずそう聞けば、何がだ?とケロリとしているのだし、
ピッコロに至っては腕を組んだまま微動だにしていない。
おめぇ、あいつらどうすんだ?捕まえてくんのか?
そう聞く悟空に頷いて返せば、
来た時同様、文字通りすっ飛んで行った。
取り残されたのはとピッコロの二人だけ―――――
「ていうかピッコロさん、緑くない?」
「俺は地球人じゃないからな」
「いや、ちょっとよく分かんないんだけど」
余り、というかまったく喋らないピッコロは話しかければ答えるらしい。
何だかすっかり気の抜けたは、
もうこんな仕事辞めようかな、
なんて思いながらも他愛もない会話を続ける。
ねえ、どうしてこの仕事受けたの。
そう聞けば、あれだけ無表情だったピッコロが
はあ、と大きな溜息を吐き出す。
「何その反応」
「…いや」
「まあ、別に言いたくないなら聞かないけどさ」
「そうしてくれ」
(えぇー!すっごい気になるー!)
その秘密はボロボロになった車と男達を片手に戻って来た悟空により
あっさりとばらされる事となる。
「チチが金を稼いで来ねぇと修行させねぇってうるせぇんだ」
「チチ?」
「孫の嫁だ」
「抜け出そうと思ったら捕まっちまってさ」
「そのせいで俺も巻き添えを喰らったんだ」
悪ぃ悪ぃと笑う悟空を見ながらも、
この人(悟空)、家庭があるんだ…
という衝撃の方が大きく、
会話は余り頭に入って来なかった。
初!DB夢です!!!
最近DB超二週目に入り、
何故だか爆ハマりした私です
私は17号が一番好きなんですけど
何故か最初に書き上げたのはこれでした
これ何だ?何夢だ…?
2020/2/03