佐々木を見上げたの表情が気になっただけだ。
まるで人形のような、少しの感情の欠片さえも浮かべないその顔。
つい先刻まで、沖田と掴みあっていた女とは思えない。


一瞬にしてその熱は消え失せ、
どうやら佐々木と、この二人の間にだけ、
少しでも触れると弾けそうな緊張感が張りつめているようだ。
上司と部下のはずだが、さて。



「おいおい、ちょっと待ってくれよ。あんた確か見廻組の―――――」
「はい?」
「…」
「何であんたがここに」
「ああ…あなたはご存知ないんですね。
 いいでしょう、特別にお教えしますよ。
 私はエリートですのでね。エリートは下々のものに優しいのです」



毎度の勿体ぶった口調で佐々木は言う。


このは見廻組の人間であり、
主に隠密活動をしているのだが、育ちが悪く頭もよくない為、
このような面倒ごとを頻繁に引き起こす困った輩なのだと。
見た目がこの通り多少派手な為、そういう仕事をさせている、
そういった仕事が得意でもある―――――


土方の額に青筋が浮かび上がる。



「何だ?ってェ事は、こいつに汚れ仕事を押し付けて―――――」
「言いがかりはよして下さい、これは私の駒なんですよ」



どう使おうと私の勝手でしょう。



「…!!!」
「堪えてくだせェ、土方さん。それにこいつはそういう女ですぜィ」
「総悟ォ!火に油を注ぐんじゃありません!」



意にも介さない佐々木に、今にも掴みかかりそうな土方。
下らない場面だ。何にもならない。
完全に自分はしくじってしまったのだ。
最早言い訳も出来ない。


黙ったまま立ち上がり、首を深く垂れ謝罪の言葉を口にする。
喉の奥が乾き、声が掠れそうだ。



「…では、行きましょうか、
「はい」
「お邪魔しましたね、皆様方」
「…!!」



土方の呼びかけに振り返る事もなく、はそのまま立ち去る。
何やら訳アリですねィ。
沖田が呟いた。












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先程から佐々木は一人、延々と話し続けている。
何を言っているかは然程重要ではない。
ある程度予想は出来るし、この後の展開も知っているからだ。
だからは車の窓から外を延々と見ているわけだし、
そこまで聞く気がない彼女に対し、
佐々木は何も言わず言葉を投げかけている。
これは今に始まったものでなく、これまで幾度も通った道だ。



「―――――仕置きですね、
「はぁ」
「ちゃんと聞いてますか?」
「はぁ」
「なら、いいんですよ」
「はぁ」



気のない返事を繰り返すは、
佐々木の方を一度として見なかった。





いつから笑わなく



なったのですか






続きですー
土方さん、いるかな?ってレベルで登場ですよ
それよりも佐々木殿です
何かこの話を書いてる途中で佐々木殿よ!となり、
思いのまま登場させてしまいました
まだ続くのですが、何なら
佐々木殿を好きな方は見ない方がいいかも知れません

2017/03/04

NEO HIMEISM