落下する天使たち











何でもいいから、とりあえず何かのせいにしときなよって言われて、
そもそも初対面だったし、初対面なのに酒の席って事もあって、
どうなのかな。多少、緊張もしてたのかな。
今となってはよくわかんないけど。


すっごい暑い日でさ、酷暑日っていうの?
仕事終わりだからもう全身汗だくなわけ。
懇親会なんて煩わしくて仕方がないんだけど、
まあそれも仕事じゃない?っていうか、仕事でもなきゃ出ないでしょ?
こっちは入ったばかりだったし、顔も売っときたかったしさ。


色んな人らに挨拶して、
クソ面白くもない会話を必死に愉しんで―――――
ぐったり疲れた結果のカウンターの隅。
あたしの事を捜してる上司から隠れながら、
こっそりそこで休んでたらご登場ってわけ。


いや、分かってる。
分かってるから言わなくていい。
そうよ、そう。
簡単にヤれそうに見えたのよ。きっとね。
ルーキーだったし、そういう場で一人で飲んでて、
何かヘラヘラしててさ。
そいつが声をかけてきた時も愛想笑いなんてしちゃって。


や、違う。
癖なのよ。
何かヘラヘラしちゃうの。
誰にだって、どこでだって。
実際、あんたにだってそうでしょ。


まあ、というわけでそこで初の接触。
会話も上手い男でさ、気づけば話し込んでたんだけど、
いつの間にか腕は腰に回ってたし、耳側で囁くし。
気づかないわけないって感じで、
ああこいつヤりたいんだなって。
そんでヤれそうだって踏まれてるなぁって思って。
随分軽薄な男ねって思ってたんだけど、
きっとあいつも同じように思ってたんだろうな。


上で休もうぜって言われて。
断る理由もないし、今更断れないなっていう考えもありきで
ついて行ったわけ。結果、ダメな自分のせいにしちゃってさ。
誰かのせいにするのって苦手なのよね。


そして、それなりの夜を過ごして迎える明け方。
随分白けた、冷えた空気。



「それって、まさに今、この状態じゃない?」
「…えっ?」
「白々しい」
「急に俺の話かよ」
「あんたの方がもっと最悪。
 そんなつもりじゃなかっただなんて、どの面下げて言えたのよ」
「いやぁ、その」



本音って思いもよらないトコで口を突くんだなと、
驚き顔で南方は言うわけで、その余りの悪質さに笑いしか出て来ない。
俺はそんなつもりじゃなかったけど、、お前がやりたいんならいいよ。
なんて。



「こういうのってマズイんだろ」
「それは、何?あんたが?行為が?」
「行為」
「雄大は怒るんじゃないの、あいつこういうの好きじゃないでしょ」
「確かに」



だったら黙ってるしかねェなと言い、これで俺たちは共犯者だなと笑う。
只々、同じような過ちを相手ばかりを変え繰り返す日々には
飽き飽きしているが、誰かのせいには出来ない為、変化は訪れない。
温もりを忘れられないのだと知っている。
それが誰を介したものだったとしても厭わない。
きっと、恐らくは。


南方が、何事か詰まらない事を呟いた。
よく聞こえなかったが、取りあえず笑って誤魔化した。




新人喰いは当然、巳虎くんです。
これ、更新作業するまで名前変換ない事に気づかなくて
慌てて作って一カ所 笑
酷い話だ。
久々のトレンディ南方です。


2017/03/13

NEO HIMEISM