酷く冷え込むもので指先が凍えていた。
明かりを点ける事が出来ないのは奴らに見つかってしまうからだ。
だから心の芯まで冷え込んでも明かり一つ点ける事が出来ないでいる。
半壊したブラインドを人差し指でずらしたローは地上を見渡し、
いつもながら不機嫌そうな表情を変えなかった。
薄い毛布に包まった
は吐く先から凍えいく息をじっと見つめ、それ越しにローを見つめる。
特に健康的ではない彼の肌が嫌に青白く映るのは冷えからか、それとも心からか。
そんな他愛もない事を考えていれば見透かしたように笑う。
こんなに小さな空間でも彼にとっては十分なのだろうか。
ちっとも満足出来ないというのに。
「嫌になるくらい、綺麗な街だな」
「どこが」
「見下ろしてみろよ、
。俺達みたいな奴らがいるから、こんなに綺麗でいられるんだぜ。この街は」
「こんな街、大嫌いよ」
吐き捨てるようにそう呟いたのは、心の底からそう思っているからだ。
生まれ育ったこの街に愛着を持った例がない。
貧富の差が激しい癖に上辺の煌びやかさばかりが取り上げられるこの街。
のような貧民層の人間はとても一人で生きていけなかった。
とっくに死んでしまった両親に一つだけ感謝出来るとすれば
外見を見事に整えてくれたという点だけだ。遺伝子レベルでの感謝。
だからこれまで生きてこれたし、きっとローに出会う事も出来たはずだ。
あの男の目を盗み毎夜の如くここへ来ている。
知れれば恐らく命はないだろう。少なくとも
の命はない。
それでも抜け出してしまうのは何故だろう。
生まれてこの方見た事もない光なんてものを求めたとでもいうのか。
希望は抱かずとも愉しさを求めてはいると思う。
これまで一度として自らの快楽(性的なものに限らずだ)
を求めた事はなく、強者のいいように使われていた。
自らの意思などないも同じだったから。
「こっちに来いよ、
」
「窓際は嫌」
「誰も見ちゃいねぇよ」
「寒いのよ」
「…まぁな」
そりゃ違いねぇ。
勝手に納得したローはこちらへ近づいて来る。
だらだらとした歩みで近づくこの男は何故こちらに手を差し伸べたのだろう。
思惑も読めないが、仮に何かを企んでいようが利用されようが構いもしない。
今この場でだけローが欲せば、この身を抱きしめてくれればそれだけでいいのだ。
「お前の美しさは何を犠牲にしたんだ?」
「…知らないわ」
「手前の事だろ」
無駄口を叩くよりもこの身体を触ってと囁いた。
珍しい前後編。
ローは出身地のせいなのか兎角、寒い場所のイメージが。
そして、何か…労働者階級とかのイメージがあります。
どんなイメージなのか。
因みに後編は裏にありますが、そんなに酷くはない(と思う)
2010/1/8
AnneDoll/水珠 |