Come on Come on

「もう嫌ああああ!!」


随分前からはそう叫んでいた。
場所は墓地、広大な敷地内に悠然と広がる墓標を前に怪談を愉しむ人間は
ゾロ、サンジ、ルフィ、エース、ウソップ、ナミ、チョッパー、
そうしての7人だった。




「ちょっとゾロ!邪魔」
「何?」


ゾロが振り返ったと同時にの平手が背中を襲う。
船内に響き渡るパンという音、ゾロは無言でを見上げる。


「テメエ何しやがる!」
「だってゾロ、邪魔なんだもん」
「ああ!?」


はそう言いながら悠々と歩き去る。
酷くマイペースな女、ショウは毎度唯我独尊状態だ。


「あ、サンジ君」
ちゃん」


やけに明るい笑顔でサンジはを迎える。
自分に優しい相手には容赦なく甘える、
はサンジに対し非常に我侭だ。
しかしサンジはあまり気にしない。
それすらも可愛いと思えるのだから大したものだ。


「ねえサンジ君、あたし甘いものが食べたいな」
「OK分かったよちゃん」


サンジは嬉しそうにそう答え支度をし始める。
はにっこりと笑いキッチンを出た。


「ねえねえウソップ、何してんの?」
「お!、ちょっとこれ見てくれ」
「なぁに?」


結局はウソップとチョッパーの二人の間に座り込み落ち着く。
ウソップの発明品を壊す事も多々あるのだが。
が一番懐いてるのはナミであり、
その他の人間には我侭し放題、
それが許されているだけこの世は広いという事か。


「ねえねえルフィは?」
「ルフィ?船首の方にいるんじゃねえか?」


分かった。
そう答えは船首の方へ進む。ルフィの他にもう一人いた。


「いよおルフィ」
「エース!」


なあはいるか?
そう聞くエースにルフィが視線を送った、その時だった。


「エ〜ス!!」
「うおっ!?」


勢いよく突撃した
船の渕に座っていたエースの身体がグラリと揺れる。
コロリと転げ落ちかけたエースの身体、は只々笑うばかりだ。


「今日も元気だねぇ
「久しぶり〜」


どうにか自力で這い上がったエースはに声をかける。
はクスクス笑いながら只話を聞いていた。




「で、だ。その人影が・・」
「もう止めてよ!!」


墓場前に座り込んだを除く全員が思う事は一つ、
どうしてはこういうありきたりな怪談話でここまで怖がるのだろうか、と。
まるで怖くもなんともない話、どこぞで女の幽霊が出る、だとか
呪いがどうしたかという類の話だ。


「こう背後から白い手がな・・・」
「いやああああ!!」


両手で耳を塞ぎは甲高い悲鳴を上げる。
そんなを見たエースは一人笑い、
ゾロ、サンジの二人は信じられないといった顔でエースを見る。
エースの策略は午後に練られた。




「・・・また来てるのか?」
「らしいな」


がこの船に乗り始めエースの出没度が上がった。
も不思議とエースには懐いているらしく
二人にしてみればあまり喜ばしくない状態だ。
しかしエースが来ればが少しだけでも大人しくなるという事で
ゾロはようやく昼寝が出来る。


「・・・・寝るか」


目を瞑りゾロが寝に入り、サンジがキッチンへ戻ろうとした時だ、
突然エースが(背後から)姿を表した。


「よお」
「!?」


まるで気配を感じなかったゾロとサンジはやけに驚いたのだが、
エースはそんな事はまるで気にせずに口を開く。
エースの腕が左右に開きサンジとゾロの肩にかかった。




「ちょっと・・・本当に怖いの?」
「ナ、ナミさん!!もう止めさせて下さいよ!!」
「いや〜・・・・・」
「あああサ、サンジ君〜止めさせてよ!!」
「・・・ゴメン、ちゃん」


半泣きのはサンジにすら断られある種頑なになる。
チラリとエースを見れば愉しそうに笑っているし、
ゾロを見れば今にも笑いそうなところを堪えている。
ルフィは相変わらずだしウソップは話をするのに夢中だ。
あえて仲間を見つけるとすればチョッパー・・・・。


「で、その井戸が・・・・」
「やだって言ってるでしょおおお!?」


ボウッと揺れる蝋燭、
面白いほど怖がるに対し得意そうにウソップは火を消す。
灯りが一つ一つ消えてゆくこの墓地で幕は切って落とされる、らしい。




の嫌いなモン知りてぇヤツ手ぇ上げて」


突然切り出された会話、ゾロとサンジは怪訝そうな顔を見合わせる。
エースは言う、は天真爛漫、実に結構な話だがちっとばかり元気過ぎる。 俺としてはあいつの怯えた姿なんてのもお目にかかりてぇもんだが、お前らはどうだ?


「・・・何か知ってるのか?」
「それなりに」
「何で俺達に話すんだ?」
「興味、あんだろう?」


ゾロとサンジは思う、喰えねぇ野郎だ。
しかしの嫌がるもの―――――
それに対する興味の方が猜疑より強かった。
三人は円陣を組みヒソヒソと話し始める。


はなぁ、怖い話・・・兎に角幽霊やらお化けの類がてんで駄目らしい」
「・・・・はあ?」
「やっぱりちゃんは可愛いぜ」


このネタの発信源はナミらしい。
ある晩女部屋での出来事、は一人いつまでも起きていた。
不思議に思ったナミが声をかければやけに怯えた様子で口を開かない。
どうしたの?数回聞きようやく口を開いたは気まずそうに呟いた。


「・・・・怖い話を思い出したんです」
「え?」


それが面白くナミはその後幾度かを驚かした。





「って話だ」


悲鳴すらあげなくなったは話が終わりようやく帰る事が出来ると溜息をつく。
場所が場所だ、とっとと船に戻りたい。


「帰ろ」


すっと立ち上がった、その手をエースが掴む。


「何?終わったでしょ話は!」
「話は、な」
「はい?」
「よ〜っし話も終わった事だしねえ、これから墓地巡りでもしますか!」


すぐには話を飲み込めないは暫し呆然とエースを見つめる。
火は全て消され真っ暗な中エースが指先に火をつける。


「じゃあはい、からね。いっつも一番がいいって言うし」


ナミが即席で作ったクジをに見せる。
はっと我に返ったは息巻きエースに食ってかかった。


「嫌!!絶対嫌!!馬鹿!!」


怒りの矛先はゾロやサンジにも向けられる。
しかしエースは微動だにせず。
が引かねえんなら俺一番頂くぜ。
そう言いながら真っ先にクジを引く。
そうしては最後に残ったクジを引く羽目になった。


エースver
ゾロver
サンジver

再UP
まだロビンが出てない頃のオール…? 昔は本当にオールが好きだったんだろうなあ。
後、主人公が若い。
2003/11/19